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『道をひらく』朗読にかける思いとは?<大塚明夫氏インタビュー>

2017年02月27日 公開

オーディオブック版『道をひらく』への思い

500万部突破の大ベストセラーである松下幸之助著『道をひらく』。本書の「オーディオブック版」がいよいよ発売される。しかも、朗読は数々の洋画の吹き替えなどで美声を披露してきた声優・俳優の大塚明夫氏。その美しい低音の響きに魅了されるファンは多い。今回、『オーディオブック付 道をひらく』の音声収録を終えた大塚氏に、その収録にかけた思いについてうかがった。

 

「自分にえぐりこませる」気持ちで朗読を

――『道をひらく』は120篇ほどのエッセイにて構成されています。すべてを朗読するのはかなり大変だったのではないでしょうか。

大塚 もちろん、まるまる一冊ですからそれなりに大変ではありましたが、読んでいて飽きるということは決してありませんでした。

一つには、一篇一篇の構成が工夫されていて、起承転結がしっかりあるからだと思います。ただ、何よりも「自分の感覚に近い」ということが大きかったと思います。読んでいて「そう、その通り」と思うような箇所がたくさんあったのです。

たとえば、「日本よい国」という項もあるように、『道をひらく』では全篇にわたり「日本は世界でも珍しいほど素晴らしい国だ」という考えが根底に流れています。これは私自身、ずっと以前から実感していたことでもあります。

一例を挙げれば、これほど四季折々の自然が楽しめる国はありません。私はバイクが趣味なのですが、少し走ればすぐに豊かな自然を味わえます。

また、落とした財布がそのまま戻ってくるような国も、日本以外にはありませんよ。本当に素晴らしい国だと思います。

――松下幸之助の思想のベースには、日本人に対する信頼感があるようです。

大塚 そうですね。「相手を思いやる気持ち」「他人の意見を聞く」「人のせいにしない」「覚悟をもってことに当たる」など、すべて日本人が昔から大切にしてきたことだと思います。私自身、自分に言い聞かせながら、自分の中に「えぐりこませる」ような気分で読んでいきました。

――本書が刊行されたのは昭和40年代。今から50年も前です。

大塚 古さを感じることはありませんでしたね。やはり、大事なものの本質は変わらないのだと思います。

実は私自身、かつては「自分の感覚は時代遅れなのではないか、古いのではないか」という意識を常に持っていました。そんなとき、ちょうど一昨年のことですが、ある任侠映画に出演したのです。任侠映画は私の若いころはよくやっていましたが、今ではほとんど上映されることはありません。

ただ、それが新鮮なのか、初めて見る若い人が「面白い!」と言ってくれるのです。私も最初は驚きましたが、「時代を超えても面白いものは面白いと感じてもらえるのだ」ということを痛感しました。

この『道をひらく』もまた、若い人に読まれていると聞いています。やはり本質がしっかりしているものは、時代を超えて支持されるのではないでしょうか。とくに今回のような「音声」ならば、通勤中の若い人にも気軽に聞いてもらえるのではないかと思っています。

 

大塚氏が考える「プロの条件」とは?

――120篇のうち、どれか特に心に残ったものはありますか。

大塚 特定のどれか一つが印象に残ったということはないのですが、私自身、プロの声優として「プロの自覚」という項については、いろいろと考えさせられるところがありました。
というのも、現在はプロとアマの違いが非常にわかりにくい時代だからです。

かつては、「お金を稼ぐことができればプロ」という考え方でよかった。ただ、今はアマチュアの人がインターネットを使って動画をアップしたりして、簡単に稼ぐことができてしまう時代です。プロとアマの線引きが非常に難しくなっているのです。

だからこそ、本書にあるように、プロは「厳しい自覚と自己練磨」を続けなくてはならない。そして、「これだけは負けない」というものを磨き続けなくてはならない。そのことを再認識させてくれました。

また、その直後の「ファンがある」という項では、ファンを大切にすることが説かれていますが、これもまた大切なことだと思います。私もファンの方からお手紙を頂いたら、なるべく直筆でご返事を書こうと思っているのですが、最近はなかなか……(笑)。頑張らなくてはいけませんね。

――朗読されるにあたって意識されたことはありますか?

大塚 抑揚をつけるというのはもちろんですが、それも一篇ずつ、作品性、ドラマ性を持たせるように読もうということを心がけました。というのも、『道をひらく』は、一篇一篇の起承転結がしっかりしているからです。それを大事にしようと思ったのです。

また、本書は元々「文章」として書かれたのではないように感じます。ワンセンテンスが長めで、同じことを繰り返し述べるような文体は、むしろ話し言葉に近いように思えるのです。

――実際、松下幸之助が口述した内容がベースになっているようです。

大塚 なるほど。だったらなおさら、話し言葉として抑揚をつけたほうが心に届くと思います。

音の持つ「原初の力」を 感じとってもらいたい >

iyashi

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