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ヒラリークリントン候補に追い風となる「銃乱射事件」「ISテロ」

2016年07月20日 公開
2022年12月19日 更新

丸谷元人(ジャーナリスト/危機管理コンサルタント)

犯人を追い詰めた警備員は全員「死亡」

 今回の事件でさらに驚くのは、そんな「ど素人並みの腕前」でもって、わずか8分で100人以上をも死傷させたらしい犯人は、なんと犯行の最中、至近距離から同時に3人の警備員による銃撃を受け続けていたという点だ。事実、犯人はこれら警備員によって店の奥のトイレに追い詰められ、最後までそこから1歩も外には出ていない(『ニューヨーク・タイムズ』6月12日)。

 マスコミはこの警備員らを「人命を救った英雄」として称えるが、いったい誰が彼らの行動を確認したのだろうか。なぜなら、犯人をトイレに追い詰めたはずの警備員らは、のちに全員死亡しているからだ。

 一方、生き残った警備員もいる。元海兵隊員でヒンズー教徒の警備員は、銃撃の最中に70人ほどの客を裏口から逃がして救ったそうだ(AFP通信 6月16日)。

 いったい何人の警備員がいたのかは知らないが、あの小さな店に当時本当に320人もの客がいたのかも疑問だ。この店の駐車場は15台分くらいのスペースしかないが、もし午前2時に320人もの客が集まっていたとしたら、多くの客は近郊住民であるはずで、少なくとも事件直後の駐車場は満杯のはずだ。しかし、事件直後に上空から撮影した映像では数台の車しか映っておらず、あの夜中にそれだけの客がどうやって店にやって来たのかはまったく不明だ。また、白いコンクリートの地面には、本来なら逃げた人びとの靴や衣類、それに血痕などが大量に散乱しているはずだが、それすらまったく見当たらない。多くの遺体や重体患者を含む客たちの大半は、事件後に忽然と消えてしまったのである。

 

「人差し指大の弾丸」で撃たれても歩き回る人

 もちろん、何人かの生存者や負傷者らしい人びとはマスコミに登場している。そのなかで、もっともマスコミ露出が多かったのがルイス・ボルバノ氏だ。彼は事件直後に、白いイヤホンをした姿でABCやCNN、FOXテレビなどに連続して出演し、事件の状況をまるで何度も練習したかのように、まったく同じ身振り手振りで証言している。

 彼は事件発生直後、わずか1分半ほどで店の裏口から逃げ出したというが、外では中に取り残された「家族」を探し求める人たちや、地面に倒れた「子どもたち」までがいたと証言している。つまり、午前2時のこのゲイバーには「子どもを含む家族連れ」までいたと言うのだ。

 ボルバノ氏はさらに、「撃ち込まれた銃弾が足から突き出しているのに、それに気付かず歩いている人もいた。その弾丸は人差し指大の大きさがあった」などと証言している。

「人差し指大の口径の銃」といえば、重さ90㎏はある航空機用20mm機関砲レベルになり、人間が抱えて撃てるものではない。巨大な20mmが1発でも命中すれば、人間の肉体など四散してしまう。撃たれたことに気付かずに歩けるなどといったレベルの話ではない。

 他にも「大量の血を浴び、這うように逃げ出した」などと証言しているのに、まったく顔や衣服に血が付着しておらず、オシャレなパナマ帽を頭に載せたままの人物などもいて、全体的に胡散くさい証言者が多い。

 

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