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「先祖は小豆で全財産を失った」150年後、子孫の著書『アズキの起源』が科学出版賞に
2026年09月24日 公開 2026年09月24日 更新
あずき色の装いで登壇した内藤健さん
2026年9月18日に、第42回講談社科学出版賞の贈呈式が開催され、内藤健さんの『アズキの起源』(東京書籍)が表彰されました。
講談社科学出版賞は、出版社を問わず、一般向けに刊行された優れた科学書に贈られる賞です。『アズキの起源』は、これまで大陸から伝わったと考えられてきたアズキが、実は縄文時代の日本で誕生したことを明らかにした研究の経緯を記した作品です。
贈呈式では、選考委員を代表して藤嶋昭さんが選評を述べ、内藤さんが受賞の喜びを語りました。
縄文人が育てたアズキは、次第に大きく赤くなった
選考委員の藤嶋昭さんは、現在のアズキの祖先にあたる「ヤブツルアズキ」について紹介しました。
ヤブツルアズキは、現在のアズキよりも粒が小さく、茶色っぽい色をしています。また、さやが熟すとはじけて、中の種が飛び散る性質があります。
日本では、縄文時代の遺跡からアズキの種が見つかっています。人々が長い時間をかけて育てていくなかで、アズキの粒は次第に大きくなり、さやもはじけにくくなっていきました。色も、現在よく見られる赤いアズキへと変化していったと考えられています。
内藤さんらは、さまざまなアズキの遺伝情報を調べることで、こうした変化の歴史や、アズキが縄文時代の日本で育てられるようになったことを明らかにしました。
日本で生まれた作物は非常に少なく、アズキはクリやワサビと並ぶ数少ない日本固有の作物の一つです。赤飯やおしるこ、あんパンなどに使われ、今も私たちの食生活に深く根づいています。
その研究の経緯を記した本書について、藤嶋さんは「本当に素晴らしい本ですから、ぜひ皆さん読んでみてください」と呼びかけ、選評を締めくくりました。
内藤健さん「珍しいこともあるもんやな」
左から「本田靖春ノンフィクション賞」を受賞した山岡淳一郎さん、内藤健さん
続いて登壇した内藤さんは、第一声で「やったー!」と喜びを爆発させました。
最終候補の5作品に選ばれた時点で「えっ、アズキの本がいけるん?」と驚いたという内藤さん。受賞の報せを受けた際も、すぐに喜ぶというよりは「最初はポカーンとして、『珍しいこともあるもんやな』と思った」と、当時の率直な心境を明かしました。
「アズキという、すごいマニアックなものを扱った本を科学出版賞に選んでいただいて、審査員の皆様には本当に感謝しております」と感謝を述べました。
さらに、内藤さんは、自身の家系とアズキの因縁についても紹介しました。
内藤家はかつて江戸で指折りの旗本だったものの、「アズキの先物取引」に手を出して全財産を失い、刀まで売却して滋賀県へ移り住んだ歴史を持っています。それから150年の時を経て、その子孫がアズキの研究者になっていたのです。
さらに驚くべきことに、和菓子屋「虎屋」の社員が内藤さんのルーツを遡って調べたところ、戦国時代の先祖・内藤正成が初陣を飾った合戦が「小豆坂の戦い」であったことまで発覚。
内藤さん自身も「怖っ!」と感じたという偶然の連続に、会場からは驚きの声があがりました。
最後に「アズキが日本生まれの作物であることを意識しながら、これからも食べていただければ」と語り、スピーチを締めくくりました。