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世界一のガーデン・センターをつくる!~赤塚植物園・赤塚充良会長

櫛原吉男(マネジメント誌『衆知』編集主幹)

2016年04月19日 公開 2023年01月19日 更新

昭和31年、三重県の津市のひとりの青年が、農業研修のため渡米した。

そこには荒廃した日本と違い、驚くべき光景があった。

アメリカの家族は、大きな家に住み、広い庭には花が溢れ、豊かな暮らしをしていた。「必ず祖国 日本もそうしよう」と決意。3年後、帰国し赤塚植物園を創業した。

「さつき」に注目し、三重県をさつきの一大生産地にし、後年、「三重さつきの父」、そして「園芸ブームの立役者」と呼ばれるようになる。

さらに当時、大量生産が困難とされた洋ランのメリクロン技術開発を成功。高嶺の花であった洋ランを、庶民に手の届くものとした。それらが高く評価され、農林水産省の園芸部門で「天皇賞」を受賞という栄誉に輝く。

さらにFFC技術によって、「バイロゲン」という健康飲料水を商品化し、大成功を収める。今や、農業、漁業、工業に幅広く活用され、人間の健康から地球環境の浄化に役立っている。

その後、名古屋で開かれた「愛・地球博 バイオラング」のオフィシャルスポンサーになり、大きな話題となる。また、中部国際空港 セントレアのオープンの際、空港と津港を結ぶ高速艇の周航が資金難に陥ると、10億円の私財を寄付するなど地域社会への貢献も大きい。

ところで、肝心の話はこれからである。

平成23年ご子息に社長職を譲り、代表取締役会長に就任。ひと安心と思いきや、さらに新たなチャレンジをしている。

それは世界一のガーデン・センターをつくること。

実は、赤塚会長ご夫妻は、プライベート・ガーデンを持っている。名前は、「レッド・ヒル&ヒーサーの森」つまり直訳すると「赤い丘(塚)」。

「そのままじゃありませんか」と思わず突っ込みを入れたくなる。

プライベート・ガーデンといっても、拙宅のようなアバラ家についている庭とは規模が違う。桁外れの大きさ。多分、日本最大級、いや、世界有数であろう。世界園芸協会の総会が日本で開かれ、世界中のビックな園芸センターの社長が見学に来たとき、その規模に驚いたというから、まんざら嘘ではない。

広いだけでなく、赤塚会長がお金に糸目をつけず集めた銘木・銘花が一面に植えられている。また、4カ所のコテージが散在しており、見ごたえ十分である。手入れは業者ばかりでなく、専任の社員が5名いるという。赤塚会長ご夫妻や社員が、世界中の名庭園を見学して、いいところをどんどん取り入れているという。だから、日々進化している。この庭は、ふだんはクローズになっており、年に数えるほどしか公開していない。まさに、完全なプライベートガーデンといえる。もとは、赤塚会長の祖父が買い求めた山林がベースになっているそうだが、その後、買いまして、今のような広大な庭園に姿を変えた。

私も、何度か赤塚会長のお供をして訪れたが、この世の桃源郷であった。ほんとうの贅沢は、高級車や宝石なんかではなく、すばらしい庭園つくることだと思った。

しかし、こんなすごい庭園を個人だけのものにしているのは、もったいないというのが、私の正直な感想だった。それに維持していくことも大変な出費だ。

(貧乏人のいらぬお節介でした)

「レッドヒル&ヒーサーの森に、世界最大のガーデンセンターをつくる」と赤塚会長から聞いて流石と納得した。やはり、我々のような凡人とは、考えているレベルが違う。

「これから、10年かけてつくる」とおっしゃる。 

一見、不可能なことを可能にする人こそ、後世、カリスマと呼ばれる。赤塚会長は、ほんとうにカリスマ性を持っている。

だから、「ほんとうに、出来ますか?」なんてことは、決して思わない。

何故なら、この20年近いお付き合いの中で、赤塚会長は言ったことは必ず実行してきたからだ。初めてお会いした頃は、「そんなバカな、そんなことできるわけがない」と思っていたが、いつのまにか、すべて実現してこられた。だから、赤塚会長は、間違いなく世界一のガーデンセンターをつくるだろう。

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