「経営者は孤独」の時代は終わったー仲間意識と少数意見を重視する世界の勝者たち
2018年11月08日 公開 2018年11月09日 更新
<<世界のビジネスシーンでも、革新型のリーダーがメインストリームを作り出し、守旧派リーダーがその役目を終え、フィールドから押し出されれつつある。日本国内でもその流れを受けて、新たなリーダーが次々と登場し、保守的な業界、市場にイノベーションを起こしている。
Forbes JAPAN副編集長にして、経済ジャーナリストの谷本有香氏は、その取材力を活かし世界のイノーベティブなリーダーや知識人を取材し続け、その数は3000人を超える。ハワード・シュルツ、トニー・ブレア、ジム・ロジャーズ、ポール・クルーグマン、リンダ・グラットン、日本では落合陽一……など多数。
そんな谷本氏が近著『世界のトップリーダーに学ぶ 一流の「偏愛」力』にて、現代の成功者たちの共通点に迫っている。ここではその一節を紹介する。>>
※本稿は谷本有香著『世界のトップリーダーに学ぶ 一流の「偏愛」力』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)より一部抜粋・編集したものです
「カリスマタイプ」より「同級生タイプ」を志向するイノベーティブなリーダーたち
これまでリーダーの必須条件とされてきた、専門スキルや経営能力、リーダーシップなどの要素もこれまでのように重要視されることはなくなるでしょう。
わかりやすく表現するならば、「カリスマタイプ」のリーダーはもう通用しません。これから目指すべきは、断然「同級生タイプ」のリーダーです。
たとえば ITコンサルティングで活躍するウルシステムズ株式会社の代表取締役社長でいらっしゃる漆原茂さんのお話を伺ったときのこと。
いち早く「これからのリーダーはカリスマ性だけじゃダメ」とおっしゃった漆原さんに、私は「それでは、何がこれからあなた自身の求心力になるんでしょうか?」とお聞きしたのですが、「自分自身がさらに謙虚になっていくことだよ」と返され、とても印象深かったのを今でも鮮明に覚えています。
漆原さんは、実際に自分が成功した一番のポイントは、全幅の信頼を置けるような人をきちんと見つけたうえで、
「私はもう会計できないから!」
と言い放って任せられたことだとおっしゃいます。自分自身が「わからない」と率直に表明することで、
「じつは社長、ここおかしいですよ」
「もっとこんな財務戦略を立てましょう」
といった声を出しやすくするなど、雰囲気づくりに細かく配慮するそうです。
一方で、失敗してしまう企業経営者は、
「経営者なんだからすべてを把握していなければいけない」
と言って、帳簿を見てはわかっているふりだけしています。そして財務担当の意見に耳を貸さずに、いつしか下からの意見も出なくなる――今の日本ではそのような企業がどんどん苦境に立たされています。