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グロービス学長が「水戸市の再生」を決意した理由

堀義人(グロービス経営大学院学長)

2019年02月28日 公開 2019年03月01日 更新

<<ビジネスリーダーを育成するグロービス経営大学院の学長、堀義人さん。アジアナンバーワンのビジネススクールをめざす傍ら、日本版ダボス会議「G1サミット」開催、水戸の地方創生、Bリーグ茨城ロボッツの再建などにも取り組んでおられます。新著『創造と変革の技法』(東洋経済新報社)には、堀さんの思考と活動の軌跡が詰まっています。

「社会をよくする」という想いをここまで体現し続け、それを周囲に波及できるのはなぜなのか。これほどの使命感を抱くようになった堀さんの原体験をお聞きしました。(記事提供:本の要約サイト「flier」)>>
 

めざしたのは「100年後にも読み継がれていく本」

――『創造と変革の技法』を書こうと思われた動機は何ですか。

グロービス経営大学院には、「企業家リーダーシップ」という科目があります。そこで「創造と変革 5つの原則」というスピーチをしているのですが、学生から「どうすれば創造と変革が実行できるのか」という質問が多く寄せられるようになっていたのです。

これは何かしらメッセージを発信しなくてはと考えていました。また日本経済新聞で連載していたコラムの内容をもとに、自分の考えを一冊にまとめたいと思っていたのも理由の1つです。

僕はベストセラーを狙うのではなく、「後世の人にも読んでもらえる本かどうか」という点を何よりも大事にしています。ハーバードなどがまさにそうですが、世界に名を馳せる大学は100年以上歴史を重ねています。

慶應義塾大学も100年位以上の歴史を刻んでいますが、創立者の福澤諭吉は『学問のすゝめ』を遺している。同じように、グロービス経営大学院の初代学長である自分が、どういう思想をもっていたのか、その軌跡をまとめたのが本書です。

だから100年後にも読み継がれていく内容、タイトルになるよう徹底的にこだわりましたし、一字一句自分の言葉で伝えています。

堀さんは日本やアジアの中でご自身が果たすべき役割や、社会への貢献を常に考え、それを体現されています。個人や組織を超えた責務を果たそうと思い至った原体験は何ですか。

影響を与えた経験は3つあります。

1つは家庭環境です。父親が学者で、父方の祖父は科学者、母方の祖父が政治家という家庭に育ちました。

父方の祖父は25歳のとき、自らのミッションを『吾人の任務』というエッセイの中で定義し、その後慶應義塾大学の工学部をつくった人。そして母方の祖父は、まさに「愛媛県県民、新居浜市民のために」と、無私の精神で献身してきた人です。

だから、社会のために何をすべきかを考え、実践し続けるという生き方が、幼い頃から当たり前だった。僕は起業・経営の道を選びましたが、「社会に貢献するため」という意識が根っこにあります。

グロービス経営大学院のビジネスリーダー育成もベンチャーキャピタルのベンチャー支援も社会を良くするための活動の一つだと考えています。

2つ目は、僕が小中高の時代を過ごしてきた水戸という土壌。

尊王攘夷に影響を与えた水戸学の精神が体に染みこんでいるんだと思うんですね。水戸藩の藩校である弘道館や、『大日本史』を編纂した徳川光圀の思想など、明治維新の先駆け的なものにふれてきたことは大きかったと思います。

そして3つ目は、人生についてずっと哲学し続けてきたこと。

拠りどころにしているのが、密教と陽明学の教えです。僕は輪廻転生を信じていて、「今生において何を成し遂げたいのか」「そのために日々どう過ごしていったらいいのか」といったことを考え続けてきたんです。

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自分が心底信じられる「ミッション・ビジョン・理念」を語り続けた

著者紹介

フライヤー(flier)

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