グロービス学長が「水戸市の再生」を決意した理由
2019年02月28日 公開 2024年12月16日 更新
自分が心底信じられる「ミッション・ビジョン・理念」を語り続けた
いくら社会全体にまで思いを馳せた志・大義を見つけても、それを実践し、周囲をインスパイアし続けることは並大抵のことではないと思います。
ですが堀さんは、日本版ダボス会議「G1サミット」の定期開催、日本を動かす100の行動など、社会に良いインパクトを波及させ続けています。これが可能である理由は何なのでしょうか。
ミッションやビジョン、理念を語り、共感してくれる仲間を大事にしてきたことだと思います。本書にも「小さく始める」と書きましたが、最初は少数でした。
けれども、自分が心から信じ切って、人生を賭けている志なら、それはおのずと言葉や態度に表れ、相手にも伝わります。それを信じてくれた人を大事にしながら、仲間がやりがいを感じられるような楽しい場をつくっていった。すると小さかった輪が徐々に広がっていく。
G1サミット開催もそうです。最初は「日本を良くするリーダーが集う場をつくる」という理念を周囲に呼びかけ、同世代の仲間が集まってくれた。
世耕弘成さんは経済産業大臣になる前から、山中伸弥さんはノーベル生理学・医学賞受賞の前から初期のボードメンバーを務めてくれています。そしてそこを中心に新たに共感の輪が広がっていきました。
僕が意識しているのは、みんなで楽しめる場であるかどうかということ。その意味ではグロービスもG1サミットも大きなコミュニティといえるかもしれません。
ネットの世界でもコミュニティづくりがキーワードになっていますが、永続するコミュニティの大前提となるのが、確固としたミッション・ビジョン・理念だと思います。
――これまで多くの挑戦をされる中で、ご自身の中でミッションが揺らぎそうになることはなかったのでしょうか。
ミッションというのは「これをなし遂げなくては」という使命、つまり初心なんですよね。もちろん、ミッションを実現するための方法論は、時代の変化に応じて変わることもあります。
ですが、その根底にある思いは揺らぐことはありません。明確な方向性を表すビジョン、そして大事にしたい価値観を表す理念も同様です。
もちろん、グロービスを始めた当初は批判されてひるみそうになることもありました。けれども、だんだんわかってきたのは、新しいことを始めたら必ず批判がくるということ。
だから今では批判に動じることはないですね。むしろ強い反対にあうたびに、自分のミッションが問い直され、いっそう強固になっていく。時には敵だった相手であっても、こちらが真剣に向き合った結果、味方に転じてくれることもあります。