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「会社の数字」がわかる社員による、ヒエラルキーのない組織作り【JALナビア】

高津良彦

2019年03月29日 公開 2019年04月15日 更新

お客さまからの電話を一本受けるごとに収入が得られる仕組み 

――クレームやお叱りがあったとしても、まずは現場の皆さんが受けとめているわけですね。

高津 オペレーターは、一度ヘッドセットをつけたら、あとは一人で勝負するしかないという世界です。厳しいお言葉を戴いたりする場合には、「涙がぽろぽろ流れる」状況も結構見受けられます。相当にレベルの高い、スキルを要する仕事です。これをこなしてくれている皆さんは、ほんとうにすごいと思います。

そしてオペレーターの皆さんには、目の前にお客さまがいると思って、笑顔を作って、朗らかに話すことを心掛けて貰っています、「笑み」に「声」で「笑声で接客」です。怖い顔をしていると声もトーンが落ち、お客さまに悪い印象を与えてしまいますので。

中には、鏡を自分の目の前に置いて、自らの表情をチェックしながら話すようにしている社員もいます。皆さん工夫を凝らして一生懸命に「JALブランドを自らが体現するんだ」という自負心を持ってやってくれています。

――オペレーターの皆さんの仕事ぶりは、アメーバ経営が入ることによって、少しずつ変わっていきましたか?

高津 基本的にはアメーバ経営が入る前から、JALグループのサービス現場で働く皆さんは、「お客さまによいサービスを提供していく」という価値観をずっと持ち続けていたと思っています。

そこに「JALフィロソフィ」や「部門別採算制度」が導入され、その価値観や行動をインスパイヤーした、勢いに火をつけたことは間違いありません。

JALナビアにアメーバ経営が導入されたのは2014年10月です。それまではJALグループの「コスト・センター」という位置づけで、役務を提供していくという感覚が全社的に強かった。

自分たちが付加価値を生み出し、収入面で貢献しているという意識はとても薄いものでした。アメーバ経営の導入は、われわれも「プロフィット・センター」であり、お金を稼がなければならないという気付きを得るチャンスでもありました。

――「お金を稼ぐ」ための構造を、どう作られたのですか?

高津 まずは、自分たちの業務を細かく分解し、それぞれの仕事は金額換算するといったい幾らくらいの価値があるのか、と考えました。

そして、お客さまからの電話を一本取るといくらの収入が得られる、という単価を決め、それが予約に結びつけば約2倍、最後の発券までいくと約3倍近くの収入になるという設定にしました。

ツアーの窓口においても同様で、お電話が入ればいくら、そして契約に至り、予約確認書と領収書を発行すると倍の収入といった形になっており、問い合わせ→予約→発券と業務を進めることで収入が増えていくシステムになっています。また、WEBでのお問い合わせに対しても細かく単価を決めています。

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