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マスク越しの呼吸も危うい 「熱中症になり易い3つの条件」

三宅康史(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長)

2022年06月21日 公開

コロナ禍以降、外出の頻度が減ったという人も多いですが、熱中症は屋内でもなりえて、ひどくなると死に至る怖い病気です。でも、正しい予防法を実践していれば大丈夫。熱中症への理解を深め、いざというときの応急処置も知っておきましょう。

※本稿は、『月間PHP』2022年7月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。

【三宅康史PROFILE】
1985年に東京医科歯科大学医学部卒業後、さいたま赤十字病院救命救急センター長、集中治療部長などを経て現職。救急・集中治療のスペシャリスト。著書に『現場で使う!! 熱中症ポケットマニュアル』(中外医学社)などがある。

 

熱中症対策のカギは体温調節

人には体温を一定に保つための調節機能が備わっており、暑いときは汗をかいたり(気化熱)、体表の血管を拡張させたりして(熱放散)、体を冷やします。

この機能がスムーズに働いていれば、私たちの体温は、通常37度以下に保たれています。

ところが、気温や湿度が高くなると、私たちは熱を外に逃がしにくくなり、加えて激しい運動や労働などによって熱が作り出されると、体温調節機能が追いつかなくなって体内に熱がこもった状態になります。

また、汗を多くかくと体の水分や塩分が失われます。水分が減ると37度以下にコントロールされていた体温が徐々に上がり、最悪の場合、41度くらいまで上がることもあります。

このように熱を体からうまく逃がすことができなかったり、脱水により体液のバランスが崩れたりすると、さまざまな症状が出てきます。これが熱中症です。

体温が上昇すると、脳や腎臓、肝臓、血液などの重要な臓器の機能が低下します。

さらに脱水で水分が不足すると脳や筋肉、肝臓や腎臓に血液が充分にゆきわたらなくなり、体中の血管が詰まりやすくなります。

そして塩分が不足すれば、神経の伝達機能や筋肉収縮が低下し、けいれんや血圧低下によるショックを招くことがあります。

 

「環境」「身体」「行動」3つの条件に注意しよう

熱中症を引き起こす条件には「環境」「身体」「行動」の3つがあります。これらの条件が多く重なれば重なるほど、熱中症を発症するリスクが高まります。

「環境」とは、気温が高い、湿度が高い、閉め切った室内、エアコンを使わないなど、気象条件や環境を意味します。

「身体」とは乳幼児や高齢者などの年齢、暑さに慣れていない、寝不足などの体調によるもの。

そして「行動」は長時間の屋外作業や運動などを指します。

熱中症の発症には「蒸し暑つい」など気象条件だけではなく、その人の体調や健康状態、行動が大きく影響します。前日は元気に過ごせていたとしても、その翌日に下痢などの体調不良があれば、同じ環境でも熱中症を発症することがあるので注意が必要です。

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高齢者や子ども、乳幼児は特に注意!

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