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生き方

「なんとなく不安」を消し去る3つのステップ 過去の失敗に捉われないためには?

有川真由美(作家)

2024年10月09日 公開

私たちは日々、様々な問題に直面します。仕事や友人、家族との関係...。イライラしたり、不安になるのは自然なことです。しかし、その問題にどう向き合うかによって、心の状態は大きく変わります。余計な感情に振り回されず、より穏やかで充実した日々を送るためのヒントを、書籍『やりたいことができる私になる自信貯金』より紹介します。

※本稿は、有川真由美著『やりたいことができる私になる自信貯金』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

変えていけることと、変えられないこと

積極的になにかに挑戦したり、毎日が充実して、明るく元気に生きている人は、傍から見ると「あの人はきっと自分に自信があるんだろうな」「きっと悩みなんてないんだろうな」なんて思われるものです。

しかし、日々の生活のなかで、だれもがなにかしら問題に直面します。どんなに人徳者の僧侶でも、優れたエリートでも、才能のある芸術家やスポーツ選手であっても、です。

問題はだれにでも起きるもの。だけれど、それにあまり足をとられない人と、つまずいてなかなか立ち直れない人がいるのは、どうしてなのでしょう。

それは、"感情"が大きく関係しています。

イライラしたり、クヨクヨしたりしたとき、多くの人はその感情に支配されたまま「どうして、私はミスばかりしてしまうのか。私のなにが悪いのか」「どうして、あの人は忙しくないはずなのに、メールの返信をしてこないのか」などと、発展性のないことをぐるぐる考え続けて、心も体も、時間までも消耗しているのです。

感情にとらわれない人は、イライラ、クヨクヨすることがあっても、「今回ミスした部分を、つぎは気をつけよう」「メールの返信がないなら、こちらから電話してみよう」と、自分がコントロールできることだけに集中して、シンプルに解決します。

結局のところ、仕事でも生活でも、人間関係でも、他人や過去のことにとらわれず、自分のエネルギーを、やるべきこと、やりたいことに集中して進んでいく習慣が、自信になっていくのです。

少し整理してみましょう。私たちが直面する問題は、つぎの2つに分けられます。

〇変えていけること:いまの自分(言葉、行動、考え方、感情)
〇変えられないこと:他人のこと、過去のこと

つまり、私たちがコントロールできるのは、「いまの自分」だけ。過去のことは変えられないし、未来のことはどうなるかわからないから考え過ぎてもしょうがない。他人のことも、他人に任せるしかありません。ただし、こちらの接し方を変えることで、いい影響を及ぼして、相手の態度が変わってくる可能性は大いにあります。

こんなふうに頭を整理するために、おすすめしたいのは、いま考えていること、感じていることを書き出すことです。

たとえば、なんだかモヤモヤしているとき、紙とペンを用意して、「仕事が多すぎてどうにかなりそう」「私のSNSに書かれたコメント、引っかかるなあ」などと正直な気持ちを書きなぐり、モヤモヤの正体を"言語化"してみるのです。"メタ認知"の方法のひとつ、"ジャーナリング"です。

多くの場合、原因や対策など考えることなく、ただなんとなくモヤモヤしているもの。その原因がハッキリと言葉になると、「削れる仕事もあるのではないか」「人が言っていることは気にしなくてもいいか」などと、自然に解決しようとするのです。

そのときは、先に挙げた「コントロールできること:自分」「コントロールできないこと:それ以外」という仕分けをすることを忘れずに。

プロ野球のある監督が、"スランプ"について、こんなことを言っていました。

「(精神的なスランプから抜け出せないのは)根本的な原因は、食事や睡眠など基本的なことにあるのに、それ以外のところから原因を探してしまう」

スランプとは、これまでできていたことが、急にできなくなること。自信をなくして、環境や人のせいにしたり、自分の能力や資質のせいにして、どうにかしようとしても、大抵は焦るばかりでうまくいきません。

うまくいかないときこそ、自分を信じ抜くことが大事。体調を整えて、やるべきことをやって「普通にやれば、大丈夫」と信じて臨めば、うまくいくのです。

難しいことではありません。自分がコントロールできることだけに集中する習慣をもつことで、余計なことに振り回されず、平常心で進んでいけるのです。

 

「いま、ここに集中」しよう

どんな人でも「時間が経つのも忘れて」というような、心からなにかに没頭した経験があると思います。そんな「いま、ここに集中」しているときは、心が"無"になって、余計な雑念がなく、生産性ももっとも高まっていて、自分の能力が最大限に発揮されます。

「今日はよくがんばった」「集中できて、仕事がかなり進んだ」「思いっきり遊んで、楽しかった!」など満足度が高く、自分についての感じ方もよくなり、「自信貯金」の「Feel(感じる)貯金」がチャリンと貯まります。

要するに、集中できているときは、自信がすくすくと育っているとき。集中すれば、成果も出やすいので「Do(する)貯金」も貯まりやすいものですが、成果はあまり関係ありません。「いま、ここに集中できている」という感覚だけで、自信においては立派な"成功体験"なのです。

反対に、未来の不安や、過去の後悔、イライラする相手のことなど雑念が浮かんで「心、ここにあらず」の状態では、当然ながら調子がよくない。「気が散って集中できなかった」「だらだらして仕事が進まなかった」など自分に対する感覚もよくなくて、さらに自信がなくなり、集中できなくなる......という悪循環です。

では、どうすれば「いま、ここに集中」できるのでしょう。

それは「大きな目的」と、できるだけ「小さな目標」をもつことです。大きな目的に向かって進んでいても、一瞬一瞬は小さなことしかできません。おすすめなのは、「この25分で○○をする」と、時間を区切って進めていくこと。

【いま、ここに集中する】コツは、つぎの3つです。
1.「今日、優先すること」を3つ決める
2. 短く時間を区切って集中する
3. 集中できる環境と、リラックスする時間をつくる

いちばん集中できない原因は、なにを優先するべきかが、わかっていないからです。たとえば、仕事であれば、優先することがわかっていないと、メールや、急な頼まれごとに振り回されて、夕方になって「今日は自分の仕事がぜんぜん終わっていない」という事態になってしまいます。

そうならないために、「今日、最低限やること」「午前中に終わらせること」など、優先することを3つに絞りましょう。

そして、「これから25分、この課題だけに集中する」など、時間を短く区切って、向き合うことです。25分集中して5分休憩する「ポモドーロ・テクニック」用のアプリや、キッチンタイマーで時間を計るのもおすすめ。

最初は、集中しようとしても「あ、頼まれごとを忘れていた」「帰りに玉ねぎ買わなきゃ」などと雑念が浮かんでくると思います。そのときは、メモなどに書いて、頭から追い出し、また集中します。これは、心を"いま"に向ける瞑想「マインドフルネス」と似ています。「いい・悪い」「好き・嫌い」など善悪の評価をせずに、ただ目の前のことに集中して、いま、ここで起こっているものごとを感じるのです。

仕事や家事、雑用なども「やりたいかどうか」「好きかどうか」で判断せず、淡々とやることが大事。大きな目的のためには、面倒なこともあるものですが、それを避けていては、本当に行きたい場所にたどり着けません。

仕事がつらいときこそ、感情を意識せずに、3S「ひとつのことをする(Single)」「短い時間に区切る(Short)」「小さい目標に分ける(Small)」で合理的に、いまのこの瞬間に集中することが大事。ひとつ終わるごとに「はい、完了!」と、達成感を味わいましょう。

最後に、集中できる環境と、リラックスする時間は必須。集中すると、思った以上にエネルギーを消耗します。仕事に25分集中したら5分休憩する、昼休みに仮眠をとる、週末の一日はなにも予定を入れないなど、心と体を解放する時間をつくってください。「今日も一日がんばった」と、日々の小さな自信をコツコツと積み重ねていきましょう。

 

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