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リサ・ラーソンの作り方 「見る」だけじゃない、ものづくりを体感する展覧会【レポート】

PHPオンライン編集部

2026年02月03日 公開

東京都立川市にある PLAY! MUSEUMでは、2月23日(月・祝)まで「リサ・ラーソンの作り方展」が開催されています。
リサ・ラーソンは、スウェーデンを代表する陶芸家。特徴的な猫のモチーフに、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。

リサ・ラーソンにまつわる展覧会は、これまでもさまざまな美術館やギャラリーで開かれてきました。しかし今回は、作品そのものだけでなく、制作のプロセスや日々の暮らしにまで光を当てている点が特徴です。来場者自身が手を動かして参加できるワークショップも行われています。

リサ・ラーソンへの理解が深まるだけでなく、ものづくりへの気持ちまで刺激される―ーそんな展覧会の様子をレポートします。

 

リサ・ラーソンの"ものづくりの過程"に宿るセンス


©LISA LARSON ©TONKACHI

第1部は、リサ・ラーソンのものづくりを「見る」「知る」をテーマにしたセクションです。会場に入ってまず目に飛び込んでくるのが、年表やリサの創作に関する解説文の数々。序盤から情報量は多く、その密度に圧倒されます。


リサは作業着に剣道の練習着を使っていたそう

フロア中央には、リサが実際に使っていた道具やスケッチが展示されており、作品が生まれる背景や制作の工程を想像しながら、つい解説文をじっくり読み進めたくなります。筆者も取材を忘れ、しばし立ち止まって眺めてしまいそうになりました。


リサが粘土で作った原型

リサの作品は、大きく分けて二つあります。成形から焼成までを自ら手がける一点ものの陶器「ユニーク・ピース」と、リサが粘土で原型をつくり、それをもとに型を取って職人の手で量産される陶器「プロダクト」です。

本展では、リサ自身が手がけたプロダクトの原型がいくつも展示されています。原型は、型をつくる工程で割れてしまうことも多く、こうして実物が残っているものは非常に貴重なのだそうです。


素焼きした陶器の形を整えたり、色付けしていく様子

さらに、その原型からつくられた型や、その型を使って焼かれた陶器も並びます。職人の手作業にこだわっているためか、素焼きの状態でもどこか温かみが感じられます。


ここまで数多くのスケッチが世に出るのは稀だという

少し進むと、リサが描いたスケッチがずらりと並びます。鉛筆やペンで描かれたシンプルな線画ですが、その愛らしさに心をつかまれます。会場からも、思わず感嘆してしまうような声が聞こえてきました。

象徴的な猫のマイキーは、スケッチから生まれたキャラクターなのだそうです。
展示されたスケッチにも、表情豊かな猫たちが数多く描かれています。リサの家の周りには野良猫がよく訪れていたそうで、その鋭い観察眼には思わず感服してしまいます。

PLAY! MUSEUM広報の草刈さんによると、スケッチの端に添えられたサインはあとで書かれたのではないか?とのこと。よく見てみると、絵の線とサインの筆致が、少しだけ違って見える気もします。

 

リサ・ラーソンの創作風景が与えてくれるもの

会場内を歩いていると、バインダーと鉛筆があちこちに設置されていることに気づきました。
これは、来場者が自由にスケッチを楽しむためのものです。

企画チームとしては、日本人の気質的に、スケッチのような自由度の高い体験にはなかなか手が伸びないのでは、と当初は懸念していたといいます。しかし、実際にはバインダーに向かって楽しそうに絵を描く来場者が、想像以上に多いのだとか。リサの創作風景に刺激を受ける人が、それだけ多いということなのかもしれません。

Tripp Trapp Trull

創作過程だけでなく、完成されたプロダクトもいくつか展示されています。全体的に丸みを帯びたリサの作品は、見ているだけでどこか心が和みます。


Japanska 日本人親子

リサは若い頃から日本の芸術やものづくりに惹かれていたそうで、そうした日本への思いが、作品にも投影されているのかもしれません。不思議と落ち着く感覚を覚えました。


工房「ケラミック・スタジオ」の様子 撮影:木寺紀雄

第1部の最後には、約20年にわたってスウェーデンを訪れ、リサを撮影し続けてきた写真家・木寺紀雄氏の写真が、スライドショー形式で上映されています。
制作の工程をひと通り見たあとに写真をじっくり眺めると、リサ・ラーソンという作家への解像度が、さらに高まるように感じられました。

 

みんなの「リサ猫」は見応えあり


サンドアートボトル用に用意された色とりどりの砂

第2部は、私だけのリサ・ラーソンを「作る」がテーマです。第1部を巡り終え、創作への気持ちが高まっている人も多いのではないでしょうか。


マイキーのサンドアートボトル 参考写真 ©LISA LARSON

ここでは、当日申し込みが可能な「マイキーのサンドアートボトル」、その場で気軽に楽しめる「マイキーの塗り絵」、そして会期中の予約がすでに満席となっている「にっぽんのリサ猫模様つけ」を体験することができます。


来場者が絵付けした思い思いのリサ猫がずらりと並ぶ

なかでも、ひときわ目を引いたのがリサ猫模様つけです。日本の窯元で作られたリサ猫に、自由に色を塗ったり模様を施したりすることができます。残念ながら、すでに定員を超えてしまったそうで今から予約することはできませんが、会場には実際に体験した人たちの作品が会期中ずらりと並びます。ひとつとして同じものはなく、それぞれのアイデアが生かされたリサ猫は、見応え十分でした。


イラストレーター・umaoさんの作品

また、リサ猫の塗り絵は、来場者の多くが体験していくそうです。展覧会の開始時に用意された3000枚は、あっという間になくなってしまったといいます。

こちらも仕上がりは実にさまざまで、眺めているだけでも飽きません。壁に貼っても、持ち帰ってもよいとのことで、家族や友人とわいわい塗る時間を想像するのも楽しくなりました。

 

作品を長く愛用するために


リサが実際に使っていたという、割れた陶器の筆立て

そして第3部のテーマは、「リサ・ラーソンのゆくえ」です。
環境問題に率先して取り組んできたスウェーデンでは、日々の暮らしのなかにサステナブルな考え方が根付いています。リサ・ラーソン自身や家族も、ものを長く使うことを大切にしながら、ストックホルム郊外の自宅に約50年近く、改築や修繕を重ねて住み続けてきたそうです。そうした持続可能な暮らしは、特別なものではなく、習慣として自然に営まれてきたといいます。

なかでも陶器は、一度焼成すると土に還ることができません。そこで本セクションでは、陶器をどうすれば長く愛用できるのかを考えるための展示が並びます。

印象的だったのが、さまざまな理由で出荷されなかったリサ・ラーソンの陶器を、実際に手に取って触れられる展示です。陶器は高価なものも多く、割れたら怖いという思いから、あまり触らないほうがよいという意識を持っている人も少なくないかもしれません。しかし、ここでは自由に手に取り、その質感を確かめることができます。

丸みを帯びたフォルムが特徴的なリサ・ラーソンの作品は、持ってみると驚くほど手になじみます。手作業にこだわった製法ゆえでしょうか。思わず、いつまでも手の中で撫でていたくなるような触り心地でした。

また、割れてしまった作品を金継ぎした展示も興味深かったです。日本にも「良いものを長く使う」という価値観が古くから根付いていますが、そうした文化が、国外で生まれた作品と組み合わさっている光景は新鮮に映りました。

 

ものづくりの奥深さを教えてくれる展覧会

グッズ売り場も、思わず足を止めてしまうほど充実していました。リサ・ラーソンのプロダクトが数種類並び、取材時点ですでに売り切れているものもあったほどです。展覧会のために制作されたオリジナルグッズも、デザイン性が高く、日常使いしやすいものが揃っている印象でした。


オリジナルグッズがどれも魅力的で目移り...

リサ・ラーソンが好きで足を運んだ人なら、グッズ売り場だけで何十分も過ごしてしまいそうです。かくいう筆者も、迷いに迷った末、トートバッグとスウェットを購入。満足のいく買い物ができました。


併設のカフェではコラボメニューも(イギーのハッシュドビーフ・サラダ付き ¥1,680)

リサ・ラーソンの生い立ちや制作風景に触れ、ワークショップで創作意欲を刺激され、さらに作品の未来について考える。本展覧会を通して、そうした流れを自然にたどることができます。
自分の手を動かしたり、ほかの来場者の作品を眺めたりするうちに、普段はあまり使わない思考の部分が、少しずつほぐれていくように感じられました。

「リサ・ラーソンのことは、なんとなく知っている」――そんな人でも、十分に楽しめる内容です。作家を深く知るだけでなく、ものづくりそのものの面白さを、改めて実感できる展覧会でした。

 

「リサ・ラーソンの作り方 展」
2025年12月27日(土)ー2026年2月23日(月・祝)
休館日:12月31日(水)ー1月2日(金)、2月8日(日)
開館時間:10:00-17:00(土日祝は18:00まで/入場は閉館の30分前まで)

https://play2020.jp/article/lisalarson/

入場料:一般1,800円/大学生1,200円/高校生1,000円/中学生600円/小学生600円

◯割引制度(併用不可)
①[立川割]一般 1,200円/大学生700円/高校生600円/中学生400円/小学生400円
*立川市在住・在学を確認できる免許証、学生証等をご提示ください
②[障害者割引]一般 900円/大学生600円/高校生500円/中学生300円/小学生300円
*障害者手帳をご提示の方とその介添人1名は半額
③[PLAY! 割]PLAY! PARKのレシートをPLAY! MUSEUMでご提示いただくと、当日に限り「一般」のみ当日券を200円引きで購入できます(オンライン購入不可)
*いずれも税込
*未就学児無料

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