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ドラえもんで“もっとも戦略的” スネ夫が10歳で立てていた人生計画

横山泰行(富山大学名誉教授)

2026年10月16日 公開

『ドラえもん』のスネ夫といえば、ジャイアンの機嫌を取りながら器用に立ち回る姿から、「お調子者」や「太鼓持ち」という印象を持たれがちです。ところが、富山大学名誉教授の横山泰行さんは、厳しい社会を生き抜くための重要な能力だと指摘します。

さらに原作では、スネ夫がわずか10歳にして自分の将来を見据え、人生計画まで立てていることがわかります。本稿では、書籍『ポケット版「スネ夫」という生きかた』より、意外なほど計画的なスネ夫の生き方を紹介します。

※本稿は、横山泰行著『ポケット版「スネ夫」という生きかた』(アスコム)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

スネ夫が10歳にして人生の計画を立てているワケ

「スネ夫が、人生を戦略的に生きている」ということがよくわかるシーンをご紹介しましょう。

なんと、10歳にして人生計画を立てていることが明らかになる場面です。

スネ夫の家に遊びにやってきた、のび太とジャイアン。するとスネ夫は、ふたりに頼みごとを切り出します。

 

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「河井伊奈子知ってる?となりのクラスの」とスネ夫。
「知ってる知ってる!! 学校一の美人とうわさの高い......」と返すのび太。
「ぼく、いまにおとなになったら、あの子と結婚したいんだ」

のび太とジャイアンはスネ夫を笑います。

「そんなことを考えるのは早すぎるんじゃないか。小学生のくせに」

スネ夫は真剣な表情でふたりに説きます。

「わかっていないのは、きみたちのほうだ。すでにあの子に近づこうとしてごきげんとってるライバルが、山のようにいる!! いまからしたしくしておかないと、おとなになってからじゃ手おくれだ。人生には計画性がないとだめなんだよ」

スネ夫はふたりに「チャンスがあったら、それとなく彼女にぼくがいかにすぐれた少年であるかっ
てこと、知らせてほしい」と頼みます。

帰り道。ジャイアンはのび太に「人生には計画性か。あいつがっちりしてやがる。おれも考えてみるかな」ともらします。

『てんとう虫コミックスドラえもん 第18巻』小学館
第16話目「ガールフレンドカタログ」

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私が10歳の頃なんて、鼻水をたらして野山を駆け回って遊んでいただけです。将来の結婚相手にまで考えをめぐらせることなんて、到底及びませんでした。ましてや「人生には計画性が必要」という認識なんて、とんとありませんでした。

この記事を読んでくださっている方で、もし10代の方がいらっしゃれば、ぜひスネ夫を素直に見習って、将来について考えてほしいと思います。

「誰と結婚するか」だけを真剣に考えるのではなく(笑)、「どんな仕事をして生きていくか」ということを悩んだり、夢を見たりしてほしいと思うのです。若くして将来の夢を決めてしまうのが、必ずしもベストというわけではありませんが、早いうちから考えたほうが理想の職業に近づけるかもしれませんから。

また、自分は何が好きで何が苦手なのかを、ハッキリさせるだけでもよいでしょう。たとえば、「体育は不得意だけど、数字には強い」ということに気付くだけでも、大きな発見です。

 

小さいことをコツコツ積み重ねる

ここで素晴らしい名言を紹介させてください。アメリカで尊敬を込めて「魔法使い(Wizard)」と呼ばれたイチローさんのことばです。

「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています」

小さいことをコツコツ積み重ねる、というのは確かに根気がいることですね。ですが、たとえ少しずつでも計画的に行えば、とてつもなく大きな夢だってかなえられる確率はうんと高くなりますよ!

経営コンサルタント・小宮一慶さんの著作には、こんなことばもあります。

「散歩のついでに富士山に登った人はいない」(『あたりまえのことをバカになってちゃんとやる』(サンマーク出版)より引用)

富士山の頂上に立つ人は、「富士山に登る!」と決めて歩いているからこそ、大変な過程を経て頂上にたどり着けるのです。なんとなく無計画にぶらぶら歩いているうちに、「富士山に登れてしまった」という人は、おそらく一人もいないでしょう。

さあ、アラサーやアラフォー、それ以上の成熟した世代の方々も、今後の人生の計画を立ててみましょう。なんだかワクワクしてきませんか。

「計画的に生きる」とは、あなた自身が人生をデザインするということにほかなりません。あなたが人生の「主導権」を握るのです。それは、誰かの指示でイヤイヤ動くのではなく、実は大変クリエイティブな楽しみであるはずです。たとえば、誰にだって「夏休みの計画をドキドキしながら立てた」という経験があるでしょう。

大人の場合は「セレブと結婚する」「やさしい人と結婚する」などと婚活に関わる計画を掲げることも、大いにアリではないでしょうか。たとえ、計画倒れに終わったとしても......。

計画をまったく立てない夏休みより、計画を立てていた夏休みのほうが、なんだか楽しかったように思うからです。あなたも、そんな気がしませんか?

著者紹介

横山泰行(よこやま・やすゆき)

富山大学人間発達科学部名誉教授・教育学博士

1942年岐阜県生まれ。1976年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。フルブライト交換留学生(ペンシルベニア州立大学)。生涯スポーツ論専攻。ドラえもんアナリスト。登場人物が夢や悩みにどのように対応し、解決したかを考え、人生を豊かにする方法を模索する「ドラえもん学」を研究。1999年、富山大学にて単位認定のない自由参加型ゼミ「ドラえもんの世界」を開講。ドラえもんの誕生日である同年9月3日には、ホームページ「ドラえもん学コロキアム」を開設し(現在は閉鎖)、「ドラえもん学」を宣言。2004年、高岡市立中央図書館と富山大学研究室に、1344点の雑誌初掲載時の作品のコピーと初版の単行本を置いた、「ドラえもん文庫」を開設。主な著書に『「のび太」という生きかた』『「のび太」が教えてくれたこと』『「スネ夫」という生きかた』(アスコム)があり、これらで合計50万部を突破している。

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