【驚異のプレゼン】「クロックス」を日本中に広めた男の“売れるネタ”の探し方
2013年10月11日 公開 2022年12月05日 更新
同じものをみていても、捉え方が違う
「それで、40人に1人がハマるネタはどうやって見つけるの?」と聞かれることがある。
私はつねに市場調査をしているわけでも、ネットを徘徊しているわけでもない。『日経新開』をくまなく読んでも、ネタが拾えるとはかぎらない。
結局、特別なことはやっていない、というつまらない答えになってしまう。
しかし、もうちょっと詳しく説明すると、私はほかの人よりも好奇心が強く、身の周りの些細なことにも、ついつい目がいってしまう性格らしい。
だから、とくに意識をしなくても、日ごろからいろいろなものが気になる。
たとえば、わが子がまだ小さかったころは、マリア・モンテッソーリ(イタリアの医学博士、幼児教育者/1870~1952年)のメソッドを採り入れたインターナショナルな幼稚園の経営を考えていた。
日本の幼稚園は少子化の影響で数は少ないし、教育内容は画一的だ。
英語と特別なメソッドを採り入れながら、子供たちの教育ができる幼稚園があったらな、と考えていた。資金があったら、やっていたかもしれない。
DJ機材の輸入代理店をやっていたときは、「これで英語の教材ができないかな」と考えた。
DJで使う機材は、早送りと遅送りが自在にできる。徐々にスピードを上げたり、落としたりができるのだ。早送りで英語を聞くと、普通の速さで聞いたときに非常にゆっくり聞こえる。脳が速さに慣れてくるのだ。そうなると、英語を聞き取りやすくなり、理解できるようになるだろう。いまでは、スマホのアプリさえ開発すればできてしまうと思うが。
たいてい自分が思いつくようなアイデアは、誰かが思いついていたりする。日本ではいなくても海外にはいる。そういうものなのだ。
それを見つけられたら、どうやって仕入れて売ればいいかを考えればいいだけだ。
だから、アイデアの見つけ方に特別なスキルは必要ない。
つねにアンテナを張り巡らせていれば、誰でも思いつくだろう。
海外旅行に行ったときも、ただ遊んで帰ってくる人もいれば、海外で見つけたユニークなグッズや食べ物をみて、「これ、日本で売ればウケるんじゃないの?」と考える人もいる。同じものをみていても、捉え方が違うのだ。それが成功する人と、そうでない人の違いだと思う。
つまり、商売人のような意識をもてばいいのである。
その点、大阪人は根っから商売人だ。大阪は子供でさえ、「これナンボで売れるかなあ」と考えていたりする。
日常生活にも、ビジネスのヒントはたくさん隠されている。
「最近これ、売れはじめているなあ」
「なんで、こんなの売っているんだろう?」
「あの人はなんで、これを買っているんだろう?」
私は自分の商売に関係あろうがなかろうが、いろいろなものに好奇心をもって周りをみている。売れている理由、売っている理由を自分なりに分析するのだ。
そうすると、だんだん「これは売れそうだな」という感覚が身についてくる。
消費者目線でみたり、バイヤー目線でみたり、メーカーの立場になって考えてみたり、さまざまな立場で考えることもある。
そうやって、ものをみる感覚を鍛えていると、いざ自分がビジネスにしようというときに、自分の感覚を信じて一歩踏み出せる。
「チャンスは準備された心に降り立つ」というわけだ。
<書籍紹介>
驚異のプレゼン
サンダル、ビール、クッション……日本市場をいかに開拓するか? 「クロックス日本法人」創業者が、勝率9割のプレゼンの極意を明かす!
<著者紹介>
森平茂生
(もりだいら・しげお)
〔株〕ジュート代表取締役/マーケット・エントリー・スペシャリスト
1989年、成城大学経済学部を卒業後、グラフテック(株)、(株)モリダイラ楽器を経て、2005年、(有)ジュートを設立。同年、ユニクロのコラボTシャツ企画でハワイ企業とのマッチングを行なっている際、「クロックス」と出合い、日本支社crocs asia pte.Ltd.を設立。ゼロから100億円企業にまで育て上げたのち、08年に退社。現在は新商品を育成するプロとして、海外の「ケルトビール」や健康器具「バックジョイ」の日本市場への導入を手がける。著書に、『ゼロから3年で100億円企業を作った男のガムシャラ仕事術』(総合法令出版)がある。