1. PHPオンライン
  2. 仕事
  3. 【驚異のプレゼン】「クロックス」を日本中に広めた男の“売れるネタ”の探し方

仕事

【驚異のプレゼン】「クロックス」を日本中に広めた男の“売れるネタ”の探し方

森平茂生(マーケット・エントリー・スペシャリスト)

2013年10月11日 公開 2022年12月05日 更新

《『1本1,000円のビールがとぶように売れる! 驚異のプレゼン』より》

 

目安としては、40人に1人がハマるもの

 一般のビジネスマンは、自分でネタを開拓して、プレゼンをするという機会は少ないかもしれない。対外的に、自分がいる部署で決まった商品やサービスを売り込むことが多いだろう。

 しかし、社内で新しい企画を提案するチャンスはあるはずだ。

 そういうときのために、私が普段「これだ!」と思う商品を見つけるためのノウハウを紹介する。

 実際に起業した場合ではなくても、起業家視点をもっておくことは大事だ。それはビジネスマンでも、必ず役に立つ。能動的に仕事に取り組めるようになるし、型にはまらない思考を磨いていれば、柔軟性も育てられる。

 そういった視点は、一朝一夕には身につかない。普段のトレーニングが必要なのだ。

 私も最初に勤めた会社、グラフテック〔株〕では、営業成績はダメだったが、毎月、新製品を提案していた。それが採用されるかどうかは、話は別だ。自分はこれだけの発想ができるのだと知ってもらうだけで、十分やる価値はある。

 私は当時から、誰も入り込んでいない分野で勝負しようと心がけていた。それは、営業では同僚たちに敵わないと身に染みていたからかもしれない。自分だからできることを必死で探していたのだ。

 いまもそれは変わらない。

 新規ブランドを開拓するときは、基本的には、自分の身の丈に合っているかどうかを判断基準にする。

 私は大きな流通チャネルをもっているわけではない。資金も潤沢ではない。社員は超少数精鋭だ。

 いまの自分の身の丈で考えると、まだ無名の小さなブランドでないと釣り合わないのだ。

 大きなブランドや会社だと、すでにその会社なりのやり方ができあがっている。

 さらに、大きな会社はけっこう浮気をする。売上げを達成できないとプレッシャーをかけてくるし、ちょっとでも反発するとすぐに相手を代える。

 何でも、自分たちのやり方がいちばんだと思い込んでいる。そういうのに嫌気がさして、無名の会社を一から開拓するほうが、自分らしく仕事ができると思うようになった。

 商品を見つけるにあたっては、「いままでにない」というのがもっとも大事なポイントだ。

 厳密には、ワインもビールも機能性クッションも、いままでにあるものだ。しかし、グラスに入ったワインはいままでにないし、100%天然水でつくったウェールズのオーガニックビールもない。『バックジョイ』のような形状の機能性クッションもない。一般に普及しているもののなかから、いままでにない角度を見つけるという感じだ。

 目安としては、40人に1人がハマるもの。

 学校のクラスのなかで、変わり者の1人がめちゃくちゃハマるくらいの感覚がいい。

 みなさんの学生時代にもいただろう。クラスのみんながアイドルにハマっているときに、1人だけヘビメタにハマっているようなタイプが。そういうタイプは、いまだにヘビメタファンだったりする。

 一過性の流行にハマる人はすぐにあきてしまうが、あまり流行っていないものにハマる人は、それを自分が育てているような感覚になる。長いファンになるのだ。

 40人に1人でも、日本全体にしたら 300万人以上の人がハマる計算だ。

 10人に1人くらいが「そこそこいい」というものは、逆に中途半端だ。可もなく不可もなく、面白味に欠ける。

 大手企業は、こういうものを開拓する傾向がある。前例がないのを嫌う保守的な人が多いので、大勢が「いいね!」というものでなければ、重い腰を上げられないのだ。

 10人に1人が「いい」という商品には、バイヤーがつきやすい。市場に出せばすぐに売れる。だが、そのぶん、飽きられるのも早いだろう。

 その点、こちらは身軽なので、40人に1人がハマるネタに全力で取り組める。

 しかし、あまりに突拍子もない商品はネタとしては面白くても、エッジが利きすぎて売れない場合もある。そのへんを見極める目を鍛えることが大切だ。

 しかし、いったん火が点いたら、こっちのものだ。

 コアなユーザーが「これ、スッゲーいいんだよ」といってくれるのは、強みになる。他の追随を許さないくらい、突っ走ることができるのだ。

<<次ページ>> 同じものをみていても、捉え方が違う

次のページ
 

関連記事

アクセスランキングRanking