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物忘れがひどい!言葉が出てこない!という人のための 脳と記憶力を鍛えるトレーニング

加藤悛徳(医師・医学博士、「脳の学校」代表)

2017年04月28日 公開 2024年12月16日 更新

物忘れがひどい人のための指先トレーニング

よくボケと勘違いする人がいますが、ほとんどの場合、これだけではボケではありません。原因のひとつとして超多忙による記憶力の低下があげられます。忙しくて同じ仕事に集中していると、他のことを記憶する脳番地の働きがおろそかになってきます。脳の中では、一番手っ取り早く処理できる脳番地だけを使いやすく、当面の問題ではないことは自然と排除してしまうからです。

さらに生活のリズムが狂っているときに、物忘れが激しくなります。集中力が途切れがちになり、記憶をつかさどる海馬が眠ってしまい、新しいことを記憶する際にサボることが多くなるのです。海馬が稼働しないことで、他の脳番地が連動しにくくなるのも、物忘れの要因のひとつに数えられます。

このように、脳の機能や連動性が狂っているときに効果があるのが、【指先トレーニング】です。指先を動かすことにより運動系脳番地を活性化できるだけでなく、左右別々の動きを行うことで記憶系脳番地である海馬も鍛えることができます。

言葉がすぐ出てこないなら、聞くトレーニング

言葉が出てこなくなると「話すトレーニング」をしなければならないというイメージがありますが、実は「聞くトレーニング」のほうが効果があります。なぜかというと、スムーズにしゃべっている人の話を聞くことで、それが脳に映り、自分もすらすらと話せるようになるからです。

聞くということは、理解力を高めることにつながります。すぐに言葉が詰まってしまう、という人は、まず理解力を高めることが大切です。

私も、講演などをする手前、会話の先生に習いに行ったことがあります。話し方を習いに行くのだから、私の話し方の欠点を徹底的に矯正するのかと思ったのですが、9割は先生が話していて、私は話を聞くだけでした。

ところが、このあと講演をしたら、「先生は会話を習いに行ってから、言葉をつかえたり、言い直したりすることがなくなりましたね」と関係者に言われました。さらに文章を書くときも、誤字脱字が少なくなりました。会話の先生はガンガンしゃべるので、的確に聞くようになります。それが頭に残っているので、その歯切れのいいしゃべりを真似することができます。しっかり聞けば、正しく話すことができることに、私はこのとき気づきました。

ですから、近所にいるおしゃべり上手の人の話を聞くだけでも、解決のヒントになるのではないかと思います。

また、感謝や反省も理解力アップにつながります。理解系脳番地は、前からも後ろからも一番奥にあり、構造的に血流が薄くなりやすい頭頂葉に位置します。ここは空間認知や、大事な記憶や理解力の中枢になる場所。人に感謝したり、反省したりするときにこの部分を使うので、理解力が高まるというわけです。

このほか、掃除することでもこの脳番地を使うことができます。どこに何があるから、と空間を認知しながら作業を進めるので、掃除をトレーニングのひとつとして取り入れるのも効果的です。

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