危機感を煽るのが二流のリーダー。夢を語るのが一流のリーダー
2017年03月17日 公開 2022年11月14日 更新
リーダーが部下に語るべきは3つのこと
まず「理念」とは、あらゆる仕事に向かうとき、どのように行動すべきかを指し示した行動規範のことです。「公明正大」「社会に貢献する」「お客さま第一」。こうして掲げられた理念が社員の間に浸透していれば、社員一人ひとりがそれぞれの持ち場で、個人で判断しなければならないときに、どんな行動をすべきか自分で判断できます。
ただ、行動規範はいつでもすぐに行動できるくらいに体に染みつかないと本物ではありません。車を運転していてとっさの時にブレーキを踏むようにです。目の前の行動が、掲げてある理念にそって自然に行われるところまで浸透する必要があります。
リーダーはそのためには、理念を語るのみならず、理念に基づいて指揮官先頭でまず自ら行動するとともに、「それはこうすべきだ」「それはこう判断したほうがいい」と常に理念に基づいたアドバイスをすべきです。
そして、リーダーは「現場」も語れなければなりません。
あなたの会社が関わっている商品、サービスの売り場、製造の現場、あるいは管理部門など現場は多岐に渡ります。その中でのお客さまの反応、接客の様子、環境整備、電話の応対など、細部を具体的に見ることが大切です。漠然と見ていては何も見えません。
「お客さまが使いにくそう」「あいさつの声が小さい」「看板が汚れている」……神々は細部に宿るではないですが、現場こそがすべてを語っているのです。
最後は「夢」です。
前の2つは、とても厳しい側面を持っています。仕事とはそういう厳しいものですが、厳しさだけでは人はついてきません。人を長期的に動かし続ける原動力は「夢」です。
ここでいう「夢」とは、1つは、会社の仕事を通して、お客さまや働く仲間に喜んでもらいながら、社会に対して自分たちはどんな貢献をできるか、という夢です。上場するなど会社全体の夢もあります。もちろん、個人としての仕事や経済的な夢もあります。
つまり、「今までになかった革新的な製品を世に出し、それによって世界から貧困をなくそう」という高尚なものから「しっかり働いて、家族で快適に暮らせる家を建てよう」という身近なものまで、「夢」とひと口に言ってもいろいろあるのです。
そして、こういった「夢」は、働く原動力になります。自分が会社で働くことが、社会の役に立つ、家族や自分のためになる。それはそのまま、仕事の喜びと直結するからです。
リーダーが語りメンバーと共有すべきは、夢、理念、現場。危機感をリーダーがあおるのは愚の骨頂。なぜなら、危機を回避し、乗り切ることこそがリーダーの仕事だからです。
※本記事は小宮一慶著『一流のリーダーの考え方 二流のリーダーの考え方』より、その一部を抜粋編集したものです。