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危機感を煽るのが二流のリーダー。夢を語るのが一流のリーダー

小宮一慶(経営コンサルタント)

2017年03月17日 公開 2022年11月14日 更新

危機感の共有は、責任の押しつけにすぎない

「給与を減らして社員に危機感を持たせる!」

たまにこう話す経営者がいます。私は、こういう経営者がもっとも失敗するタイプだと思っています。そうした経営者は、社員にこう言っているに違いありません。

「業界全体が危機的状況だ。いまふんばらないとうちの会社は危ないぞ!」

管理職でも同じようなことを言う人がいます。

「一人ひとりが危機感を持って、意識を変えなければ、うちの部署はそのうちつぶされるぞ!」

いずれも社員や部下を叱咤し、危機感をあおることで奮起させようという狙いです。

しかし危機感を共有しようと檄を飛ばす社長や上司を見て、社員や部下はきっと内心こう思っています。「こんな危機的状況になっているのは、あなたのせいでしょう……」。

会社における経営者や管理職の役割は、組織を正しい方向に向かわせることです。だからこそ経営者や管理職には、一般社員とは違う裁量と権限が与えられているのです。給与も違います。

では、その組織が危機的状況を迎えているのは誰の責任でしょう?

それは権限を持ち、方向づけをした「リーダーの責任」であることは明白です。一番は社長です。

にもかかわらず、危機感を共有しようとするのは、部下や社員にその責任を押しつけようとしているだけではないでしょうか。少なくとも、私の目にはそう映ります。

会社の最前線で働いているのは、他ならぬ現場の社員たちです。その社員が危機感を抱いてしまったら、実力も出ず、接するお客さまにも必ずその不安は伝わります。

「俺の会社はもうギリギリだ。危機らしい」

そんな心持ちで仕事をしている人間と取引したい、そんな人間のつくった商品を買いたいなどと思う人はいないでしょう。「そんなジリ貧の会社の商品、大丈夫か?」「必死になって売りつけようとしている気がする……なんだかいやだ」と思われるのが関の山です。幹部と危機感を共有するならまだ許せます。それだけの給与を取っているわけですから。しかし、社員と危機感を共有しても、よりいっそう危機を深刻化させるだけなのです。

また、むやみに危機感をあおると、他社でも活躍できる有能な社員から会社を離れていきます。尻を叩かれながら働くことを好む人間はいません。「この会社はダメだ。給料も削られそうだし、早いうちに別の会社に移っておこう」と考えるのは当然です。

自社の現状を厳しく認識し、危機感をトップ自身が抱くのは正しいことです。また役員くらいまでの人間がそういった事態を共有し、打開策を必死で考えるのは一向にかまいません。むしろ絶対にやらなければいけないことです。

しかし、現場にいる部下のすみずみにまでそれを伝え、危機感によって人を動かそうとしてはいけません。ましてやそのために、給与を減らすなどとんでもないことです。それならば、まず経営者自身の給与を大幅に減らすのです。

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リーダーが部下に語るべきは3つのこと

著者紹介

小宮一慶(こみや・かずよし)

経営コンサルタント、小宮コンサルタンツ代表

1957年、大阪府生まれ。1981年、京都大学法学部を卒業後、東京銀行に入行。1986年、米国ダートマス大学経営大学院でMBAを取得。帰国後、経営戦略情報システム、M&A業務や国際コンサルティングを手がける。1993年には、カンボジアPKOに国際選挙監視員として参加。1996年、〔株〕小宮コンサルタンツを設立。『小宮一慶の1分で読む!「 日経新聞」最大活用術』(日本経済新聞出版社)など、著書多数。

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