『歴史街道』編集部おすすめの本
2011年09月30日 公開 2022年09月29日 更新
早坂 隆 著
文春新書/914円(税込)
近現代史を知るうえで必読!
松井石根は、南京事件を引き起こされたとされ、中国では「日本のヒットラー」と称される。しかし、彼の本音は日中友好にあり、また誰よりも軍紀を尊ぶ軍人であった。松井の実像と事件の真相を透徹した眼差しで描き出す、迫真のノンフィクション。(村)
藤井讓治 編
思文閣出版/7,140円(税込)
武将たちの居所と動きが丸わかり
天正10年(1582)6月2日、あの人物はどこにいた? 本能寺の変や関ヶ原当時など、武将たちの運命はその居所によって大きく分かれたが、本書は25人の日々の居所を克明に綴る。織田・豊臣に仕えた彼らの日記を覗くようで楽しい。(佐)
山本一力 著
角川春樹事務所/1,680円(税込)
ひと味違う龍馬伝!
坂本龍馬と盟友・中岡慎太郎の出会いの場面がいい。高知出身の著者にしか書けない空気感がある。本書は、時代小説一筋の著者がいずれ書こうと思い定めていた物語の「少年篇」。龍馬が若い頃から、いかにして男を磨いていったかがよく分かる。(後)
津川康雄 監修
じっぴコンパクト新書/800円(税込)
首都の知られざる発展と変化
今や世界有数の都市となった東京。しかしその過程には「ローマは一日にしてならず」のたとえ通り、長い歳月をかけた発展と変化があった。家康入府から戦後復興までの歩みが網羅され、東京の町歩きに新たな発展をもたらしてくれる一冊。(水)
書評掲載誌
『歴史街道』 2011年10月号
発売日:2011年9月6日価格(税込): 630円
【今月号の読みどころ】 生涯70余度の合戦に臨み、43勝2敗25引き分け、勝率9割5分、しかも大敗は一度もなしという武将がいました。越後の龍、また毘沙門天の化身とも呼ばれた上杉謙信です。神懸り的な強さもさることながら、彼は他の武将とは全く価値観が異なっていました。すなわち己の利のためには戦わず、筋目、つまり「義」のためにのみ戦うのです。宿敵の一人、北条氏康はこう語ります。「信玄や信長は表裏常なく、頼むに足りぬが、謙信のみは請け合ったら骨になっても義理を通す」。また武田信玄は臨終の際、こう遺言します。「わしの死後は謙信を頼れ」。己の信じるものを断じて曲げず、それゆえ敵にすらも信頼された謙信の、無類の強さの秘密を探ります。
第二特集は「兵学者・吉田松陰」です。