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子どもの「イヤ!」は身を守る反応…“豊かな心”を育むコツ

平木典子(東京福祉大学大学院教授/家族心理士)

2011年10月22日 公開 2024年12月16日 更新

"共感する言葉かけ"が人間性を豊かにする

人間は、ワクワクする気持ちや嬉しいといったプラスの感情と、怒りや悲しみといったマイナスの感情を感じて生きています。どれも大切な感情ですが、マイナスの感情は感じないようにしがちです。

しかし、感情の幅は大きいほど、思いやりや共感が働き、他人とつながれる人間になるでしょう。人間の豊かさは、そのベースを培うことであり、それが親の役割と言えます。子どもの心に寄り添う共感の言葉かけが必要なのです。

 

子どもに寄り添う「話し方」3つのポイント

1)子どもの状況と心を言葉にする

転んだら「だいじょうぶ?」「痛かったね」と寄り添う言葉をかけましょう。子どもは安心と思いやる言葉かけ、そして"痛い"という言葉を覚えます。「早く立ちなさい!」は親の都合や思いです。

子どもの状況と心を言葉にすれば、子どもは学びます。小さければ小さいほどその努力は大事。泣く子には「泣くんじゃない」ではなく「腹が立ったのね」と共感します。

泣きやまない時はさらにピッタリの言葉を探しましょう。「~しなさい」「○○はダメ」ばかりでは、きっちりした子には育っても、豊かな心は育ちません。

2)「私はこう思う」と素直に言う

「私が見たところ、あなたはだらしがなく見える」を「あなたはだらしがない」と決めつけていませんか。"○○について"と具体的な行動に限定することが、子どもを必要以上に傷つけない気遣いです。

決めつけず、「私はこう思う」という言い方を心がけましょう。また「いつまでグズグズしているのよ」ではなく、「おかあさん急いでいるから、早くしてほしいなあ」と素直に言えればいいですね。

決めつけは攻撃。ちょっとした言葉遣いに気を配り、否定よりはめる言葉を大切にしましょう。

3)感情的に叱らない

感情的にならずに、やってはいけないことをちゃんと教えていきましょう。トイレトレーニングなどはすぐにできることではありません。野球選手が何度も素ぶりをするように、訓練には手間隙がかかります。

身についてからまたできなくなっても、簡単に怒らないで、丁寧にサポートしましょう。 今までできたことをしたくなくなったり、できなくなる時期があります。

冒険心や自分らしさへの挑戦の時期と思い、抑え込まず、長い目で成長をみつめましょう。必要のない厳罰は、子どもの自発性や勇気を失わせます。

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おかあさん、今からでも大丈夫です

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