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"サザエさん症候群"に悩んだ医師 日曜の夜に熟睡するための「ある方法」

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

2019年02月08日 公開 2022年12月07日 更新

 

休日の「休みすぎ」で、「サザエさん症候群」になった私の経験

休日の寝すぎ、休みすぎが、なぜメンタルの不調を招いてしまうのか? それは、私の30代後半の経験からも、ご説明できると思います。

日曜日の夕方にアニメ『サザエさん』が放映される頃になると、どうにも憂うつになって、明日の仕事に行きたくなくなる心の病の一つ。それが、いわゆる「サザエさん症候群」で、30代後半の私は、まさにこのサザエさん症候群の一人でした。

そして、その誘因になったことの一つが、休日の「休みすぎ」にあったのです。

当時外科医だった私は、まだ自律神経の研究を始める前で、今よりもっとストレスに弱い人間でした。30歳~35歳、5年間という長い留学経験を無駄にしないように頑張らねばとがむしゃらに働いていたこともあり、自分に厳しいだけでなく、他人にも高い意識を求めすぎる傾向がありました。

振り返れば本当にお恥ずかしいことなのですが、手術中に誰かがミスをしようものなら、「何やってんだ! そんなこともできないのか!」と怒鳴りまくる始末。準備や努力の不足、意識の低さこそがミスを生むと考えて、それを許さなかったのです。

しかしながら、そんな私に降りかかってきたのが、サザエさん症候群でした。当時、最悪とも言える人間関係のストレスもありましたが、日曜日の夕方になると、とにかく気持ちが憂うつになり、頑張る気力が湧いてこないのです。

頑張りたいのに、頑張れない。心と体がついてこない。それは、体力だけには自信があった仕事人間を自任する私としては、何よりもショックな出来事でした。

振り返ってみると、30代後半の私は、人間関係のストレスに加え、年齢による副交感神経の働きの低下もあって、自律神経のバランスが乱れきっていたのだと思います。

そして、そこに休日の休みすぎも加わって、自律神経のバランスはさらに最悪に。交感神経、副交感神経ともに低下して、結果、心身ともに活力を失い、夜は眠れず、食欲をなくし、会合や学会にも積極的になれず、うつの一歩手前までいってしまったのです。

ですから、質のよい睡眠を作るためにも、心身のパフォーマンスを高めるためにも、休日は、休みすぎないこと。そのためのコツは、この二つです。

(1)休日も、夜寝て朝起きるという基本のリズムを崩さない。
(2)楽しみな予定を入れる。

この二つを意識すれば、休日は、本当の意味での休息日、リフレッシュデーとなり、翌週の睡眠、体調だけでなく、人生そのものの質も高まります。

また、楽しみな予定というのは、特別なレジャーでなくとも、もちろんいいのです。私の場合は、趣味のゴルフなどの予定がない場合は、映画鑑賞と「部屋の片づけ」を休日の楽しみな予定にしています。

映画なら、誰かと約束しなくても一人で楽しめますし、部屋の片づけをすると心がすっきりし、それだけでリフレッシュできます。また、きれいに整った部屋を見ると充実感もあり、その一日を無駄遣いではなく、有意義なものにしてくれます。

そして、そんな嬉しい、楽しいという感情が自律神経のバランスを整えてくれて、その夜はぐっすりと熟睡できるのです。

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