「期待される人」と「されない人」の言葉の使い方 チームの協力度が変わる一言の差
2026年07月27日 公開
周囲から評価され、出世している「会社から期待されている人」と「頑張っているのに評価されない人」の間には、行動パターンにおいて明確な違いがあると、株式会社クロスリバー代表の越川慎司さんは指摘します。著書『会社から期待されている人の習慣115』では、期待されている人たちがおこなっている「信頼を積み上げる」ための習慣を紹介。
本稿では、会社の中で差が生まれる"何気ない会話"や"言葉"について解説します。
※本稿は、越川慎司著『会社から期待されている人の習慣115』(ダイヤモンド社)を一部抜粋・編集したものです。
「1分だけ」の相談を本当に1分で終える
上司や同僚に「いま、1分だけいいですか?」と言って相談することがありますよね。2万8,000人の会話データをAIで分析した結果、期待されている人たちは61%という高い割合で本当に1分で相談を終えていました。
「1分って言ったんだから、当たり前じゃん」と思うでしょうか。ですが多くの人は、短く済むと前置きしておきながら、話し始めるとあれもこれもと話が膨らみ、相手の時間を無自覚に奪ってしまうものです。
実際、先ほどの調査では、一般社員の「1分だけ」が本当に1分で終わる確率は1%未満でした。
多くの人が守れない約束をする一方で、期待されている人たちは小さな約束を守ることで信頼を積み上げていたのです。
相談を「1分」で終わらせるコツ
相談を本当に1分で終わらせる。さらに詳しく分析すると、そのポイントは以下の3つでした。
1.余計な背景や言い訳を削ぎ落とし、要点だけを伝える
2.重要な発言の前には1.5秒の「間」を置く
3.「お願い」と「結論」を先に伝え、詳細は後にまわす
あるメーカーの若手社員は、これらのポイントを意識して、相談を1分で終えるように徹底しました。すると、上司から「君の相談は簡潔でわかりやすいから安心できる」と評価され、半年後に重要プロジェクトの調整役に抜擢されたそうです。
「小さな約束」を守り続けることが信頼を積み重ねる
ビジネスの現場では、大きな責任や抜擢は、いきなり与えられるものではありません。まずは小さな約束を守る人だと周囲に認識されることが出発点です。
「1分だけ」が毎回10分になる人は、どんなに能力が高くても約束を守れない人という印象になり、大きな責任のある仕事を任せづらいと思われてしまいます。
小さな約束の積み重ねが、やがて、大きな約束を任せても大丈夫な人という評価につながるのです。
「挑戦」という言葉をあまり使わない
17万人の言動をAI解析(文字起こし+テキストマイニング)しました。
すると、会社から期待されている人たちの69%は、ランダムに抽出した1週間で参加した会議の中で、「試す」「検証する」「実験する」という言葉のいずれかを5回以上使っていました。これは一般社員における比率の3倍以上です。
一方で、あまり使わないのが「挑戦」です。「挑戦しよう」と決めた瞬間、失敗が許されない気がしてきて、理想の姿と現実との距離が一気に広がり、結果として、やる気があるのに動けない状態に陥ることがあるからです。
期待されている人たちは、このことをよく理解しているため、「挑戦」を避け、「実験」や「試す」を多用していました。
「期間」「対象」「測定項目」を絞る
さらに分析すると、それらの言葉に裏打ちされた働き方の特徴が見えてきました。
1つは、範囲を決めて行動することです。何か新しいことを始めるとき、「どうせやるなら」と対象部署を増やしたり、検証項目を追加したりしがちです。結果、準備に時間がかかり、動き出す前に息切れしてしまいます。
一方で、期待されている人の多くは、「3日間」「1チーム」「1指標」など、対象を絞って始めていました。実験は期限や制約があるほど動きやすくなります。期間・対象・測定項目をそれぞれ1つに限定し、これだけは確かめると決めてから始めているのです。
計画書は「A4一枚・箇条書き」で十分
もう1つの特徴は、準備に時間をかけないことです。失敗したくない気持ちから、あらゆるリスクを想定した計画書を作り込んでしまう。準備段階で力尽き、結局実行に移せない。そんなケースは少なくありません。
一方で期待されている人たちは「実験の目的」「やること」「確認する数値」の3点さえ押さえれば、計画書なんてA4のペラ1枚でいいと言います。計画段階ではなく、最初の結果を見てから頭を使うべきだと考えているのです。
「挑戦」と考えなければ、「失敗」はしない
生命保険会社のある若手社員は「提案を通すコツは"大きな構想"より"小さな実験"です」と言っていました。
彼はある社内プレゼンで「まずは3日間だけ実験させてください」と提案し、その小さなテストで結果を数値で示せたことで、正式なプロジェクトとして承認されたそうです。
「挑戦」を「実験」と言い換えるだけで、上司やチームの心理的ハードルが下がり、協力を得やすくなります。使う言葉の違いが、行動と結果の差につながっていたのです。