新たに噴出する職場の「逆パワハラ問題」…上司が知っておくべき“傾向”と“対策”
2020年11月02日 公開 2023年01月05日 更新
“逆パワーハラスメント”が問題視される職場も
こうしたパワーハラスメントには上司から部下へのものだけでなく、部下から上司に対して行われる、いわゆる「逆パワハラ」も存在します。
例えば、赴任したばかりの上司に対して、長年、その職場で働いている部下たちが適切な情報を提供しなかったり、業務指示を無視するようなケースが実際に存在しています。
また、業務上必要な注意に対しても「それ、パワハラです」「訴えますよ」などとパワハラをちらつかせたり、業務を拒否したりするケースもあります。
さらにひどいケースになると、職務上で何か上司に対して不満があると、過去に誘われた飲み会を引き合いに出して「強制的に参加させられた」などと脅すことで指示や注意をさせにくい状態をつくる、といったケースも存在します。
こうした事象の原因には「パワーハラスメント」に対する知識や認識が組織的に不足していることが挙げられます。しっかりと定義を確認し合い、業務上の指示とパワーハラスメントが混同されない状態や、パワーハラスメントが実際には上司から部下にだけ行われるものではなく、部下から上司、それ以外の関係性においても存在することを認識する必要があります。
パワハラも逆パワハラも生まれない組織にするために
では、パワーハラスメントが生まれない組織にしていくにはどのようなことに配慮すべきでしょうか。ここでは3点、大切なポイントを解説します。
(1)正しい知識を持つこと
先に解説したように、正しい知識を互いに持つことがまず必要です。
特に「職務上の優位性」は上司と部下、それ以外の関係性においても存在する可能性があることを認識し合いましょう。
(2)「業務の適正な範囲」を共有すること
業務の適正な範囲がどこからどこまでなのかを共有することで、指導とパワーハラスメントの線引きをできるだけはっきりさせましょう。
(3)互いに信頼、尊重、感謝し合う文化を形成すること
少し時間を要することになりますが、上司や部下、同僚、社外の取引先含め、お互いに信頼し、尊重、感謝し合う風土をつくり出すことが最も大切なことといえます。ベースに信頼関係を築き、お互いの存在を尊重し合う職場をつくり出すことがパワーハラスメント対策の本質といえるでしょう。
テレワークに伴い生まれる“新しいパワハラ”の形態にも注意
テレワークが急激に増えたことで、「リモートハラスメント(リモハラ)」が増えつつあるといわれています。具体的には、動画で顔を映すだけに留めるべきところ、「もっと部屋を見せて」と指示するなど、プライバシーを侵害するものです。
また、リモート勤務によって部下や相手の行動が見えにくくなるため、上司による「過干渉」も問題視されます。何度もチャットで返答を求めたり、電話をしつこくかけるといったコミュニケーションは、互いのストレスを高めます。
こうしたことを回避するために、事前に“ルール”をつくっておくなど、企業には迅速かつ柔軟な対応が求められます。