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株を“2年後”に手放す日本人は損してる? 時価総額をも無視する「考えない投資」の強さ

福田猛(ファイナンシャルスタンダード株式会社代表)

2021年04月09日 公開 2022年10月06日 更新

いま、投資熱が再燃している。2020年2月15日には、バブル期以来30年ぶりに日経平均が3万円台に上昇。米国株への投資ブームも起きている。

しかし、投資には常にリスクがつきものだ。特に、投資初心者であれば、マーケットが大きく動いているときこそ、下心で手を出して、大損しないよう気をつけなければいけない。

そこで本稿では、日本最大級のFA(ファイナンシャル・アドバイザー)集団をまとめる福田猛氏が推奨する、投資で成功するヒントを紹介する。

アメリカでは、「人生で成功するには3人の専門家が必要となる。それは医師、弁護士、FAだ」と言われる。つまり、FAとは「お金のお医者さん」のような存在だ。

福田氏の言う「積み立て投資信託」ならば、投資初心者でも、大損せず、勝ち続けられるという。それでは、私たちの大切なお金をどのように育てていけばよいのか、"お医者さん"に聞いてみよう。

※本稿は福田猛 著『考えない投資生活 お金の不安から一生自由になれる』(飛鳥新社刊)より一部抜粋・編集したものです。

※本稿は2021年4月時点の情報に基づき、投資に対する考え方を示したものであり、個別の金融商品を推奨するものではありません。金融商品の価値は状況によって変動しますので、購入の可否を含む投資の判断はご自身の責任で行うようお願いいたします。

 

日本人だけが損している「2年後の壁」を越えよう

投資の基本は、「安く買って高値で売る」の一点に尽きると言われます。

だとすると、買い時と売り時のタイミングが大事で、投資家は日々それに頭を悩ませていることになります。

しかし、私は投資初心者が成功する近道として「積み立て投資信託」をおすすめしており、それは「売らない」ものです。

売らずに、長く保有しておく。

そして、できれば「一括購入」ではなく「積み立て」で投資していくのが大前提です。

日本は投資信託の保有期間が欧米に比べると短いと言われてきました。

日本の平均保有2.6年に対し、アメリカは4.6年、イギリスは4.5年。日本のNISAのモデルとなったイギリスのISAを利用した投資信託は、7.3年となっています(三菱UFJ 国際投信株式会社 2016年調査)。

ここ数年で、日本でも短期的に売買を繰り返す販売法を証券会社や銀行が反省し、投資家側も長く保有するのがいいという意識が高まってきました。

ですが、それでも日本ではまだ「2年後に手放す」投資家が多いというのが現実です。

私はこれを、多くの投資初心者がつまずく「2年後の壁」と呼んでいます。

ここで保有し続けるかどうかが、後々のリターンに大きく関わってくるのです。

なぜ長く持っておくのがいいのかというと、答えは単純です。

そのほうが「利益が増える」からです。

世界の株式の平均価格はこの30年間、ずっと右肩上がりで上昇しています。これは揺るぎない事実です。

もともと世界の株式は10年でも20年でも、50年でも、長期で持てば平均的に7パーセントくらいのリターンを投資家に提供してきたのです。

たとえ「〇〇ショック」と呼ばれる不景気で一時的には落ちても、そこで耐えたら落ちる前以上に上がっていくというわけです。

 

暴落にも動じなくなる「20カ月の心得」

世界の株式の値動きを調べると、コロナショック暴落のようなことが、過去60年間で実に13回も起きています。

4、5年に一度、オリンピックやサッカーワールドカップくらいにおなじみだということになります。

具体的に、直近30年の株価が暴落した出来事をおさらいしてみましょう。

1990年頃 日本のバブル崩壊
2000年頃 ITバブル崩壊
2008年頃 リーマンショック
2015年頃 チャイナショック
2018年頃 米中貿易摩擦
2020年  新型コロナショック

こういった世界の株式市場が大幅下落するときは、平均的に10カ月かけて、25パーセントも下落しています。けれど、大切なのは、「ショック」や「暴落」が起きたあとに世界はどうなったのかを覚えておくことです。

ショック級の事態が襲っても、世界の株式市場全体では、平均的に株価は「20カ月」をかけて回復しているのです。

したがってもし今後、想像もしない世界的危機が起こって市場が混乱しても、この歴史的事実を思い出しましょう。

「どれだけ落ち込んでも、2年くらい(20カ月)で世界の株価は元に戻ってきた」のだと。私たちが毎日夜を迎えても安心して眠れるのは、長くても12時間後には朝を迎えるとわかっているからです。

これがもし、いつ朝が来るかわからなかったら、どうでしょう。

徐々にあたりが真っ暗になっていき、パニックに陥ってしまうかもしれません。

世界経済に投資するというのは、それに似ています。

投資信託も世界経済にあわせて下落するのは珍しい話ではありません。ですが、2年ほどで回復すると知っておけば、チャートが激しく変動するのを見ても動揺しないでいられるのです。

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「時価総額ランキング」を無視できるワケ

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