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泣きじゃくる子、癇癪を起こす子が…子どもの成長におどろいた話

『PHPのびのび子育て』読者エッセイ

2021年06月23日 公開 2024年12月16日 更新

月刊誌『PHPのびのび子育て』(PHP研究所発行)に寄せられた投稿から、「子どもの成長におどろいた話」をご紹介します。

※本稿は『PHPのびのび子育て 2021年6月号』より転載したものです。

 

兄のまなざし

我が家には4歳差の兄弟がいます。兄である長男はおっとり優しく、いつも弟を可愛がっています。一方で弟は天真爛漫、自由奔放で家族にしっかり甘えて日々を謳歌しています。

長男が幼稚園に入園した年の秋、4年間、私たち夫婦にべったり甘えて育った彼が、ついにお兄ちゃんになりました。

元来甘えん坊だった長男ですが、弟が生まれてからはお兄ちゃんとして行動しようとする姿も見られ、彼の生活も激変したと思います。自分もまだまだ甘えたい盛りのはずなのに、沐浴となればバスタブに温度計を入れ、ガーゼを準備し、着替えを運んでくれました。

離乳食が始まると大喜びで、初めての一口は絶対にあげたい! と、見事次男のファーストバイトを勝ち取りました。スーパーに行けば、「ママ、次はどのお野菜が食べられそう?」と母以上に離乳食の食材選びに真剣です。新しい食材をかごに入れると「えっ⁉ もうそれも食べられるん? すごいなぁ!」と喜んでくれました。

一緒にお風呂に入れるようになれば喜び、寝返りが始まると熱心にハイハイの指導をし、歯が生えると「これでまた新しいお野菜が食べられる!」と嬉れしがり、本当に弟の成長1つひとつを親に負けないくらい共に喜んで、寄り添ってくれていました。

そんな可愛い弟が1歳の誕生日を迎えた日、私の友人から次男宛に誕生日プレゼントが届きました。何の荷物か尋ねてきた長男に、弟のお誕生日プレゼントだよと伝えると、態度が一変。「どうして○○くんだけ! 何で? 何でなん!?」と苦しそうにこぼし、涙したのです。

長男にとって初めての弟の誕生日。弟だけにプレゼントがあることに、とてもショックを受けていました。混乱し泣く長男を抱きしめ、2人になって話をしました。

すると普段は言わないような弟への嫉妬心や甘えたい気持ちがポロポロと溢れてきて、混沌とした感情をたくさん抱えていることが分かったのです。普段温和で優しい長男にもこんな気持ちがあったんだなと驚くと同時に、私も優しい長男に少し甘え過ぎていたのかな、と反省しました。

せっかくの機会だと思い、胸にため込んでいることを全部吐き出せるように、私はただただ長男の話を聞き、その気持ちに寄り添いました。すると少しスッキリしたのか、プレゼントを見たいと言って部屋に戻りました。

プレゼントを開けてみると、そこには何とお揃いの洋服が2枚入っていました。友人は兄弟で着られるよう長男の分も用意してくれていたのです。長男もポカンと驚き、少し照れながら弟と新しい服に袖を通しました。

このとき、お揃いの服を着て撮った兄弟写真の長男は何とも言えない表情で、私にとっては大切な思い出です。粋なプレゼントをしてくれた友人には感謝しかありませんでした。

その日から月日は流れて1年が経ち、再び次男の誕生日がやってくる前日。子どもたちを寝かし付けていたときに、先に寝た弟を挟んで「明日は○○くんのお誕生日やね」と言うと、「明日で何歳になる? 2歳? そしたら1歳はもう終わり?」と聞いてきました。「そう、明日で2歳になるよ」と答えると、長男が突然ポロポロと涙を流し始めたのです。

もしかしてプレゼントのこと!? と私は焦り、「どうしたん? 何か嫌な気持ちになった?」と聞きました。

すると長男は「ううん、1歳の○○くんが可愛かった。もう1歳の○○くんに会えなくなるのが淋しい!」と泣きながら答えたのです。思わぬ理由に私は驚き、いろいろな感情が溢れて一緒に泣いてしまいました。

翌日、お昼寝をしている次男の顔を覗き込み、「もう2歳の寝顔やなぁ。2歳でもやっぱり可愛いわ!」と言いながらにこにこ去って行った長男が、とても大きく見えました。これから次男の誕生日を迎えるたびに、私はこの2年を思い出すと思います。(森田ゆう・主婦)

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