松岡修造が「すみません」を禁句にする超納得の回答
2021年09月03日 公開 2021年09月03日 更新
95年のウィンブルドン選手権で、日本人男子として62年ぶりのベスト8進出を果たすなど、プロテニスプレイヤーとして功績を残した松岡修造さん。
現在はジュニア選手を育成・強化する指導者、そしてスポーツキャスターなどと幅広く活躍している。
そんな松岡修造さんは、新たに著書『修造流・逆転の発想法』(PHP研究所)を上梓した。松岡さんの人生や、実際に指導として伝えていることを元に、"弱さを強さに逆転させる具体的な方法"を綴っている。
本稿では、その中で人付き合いを楽しくさせるコツが書かれた一説を紹介する。
※本稿は、松岡修造 著『修造流・逆転の発想法』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
他人からどう見られているかを決めつけない
自分がほかの人からどう思われているのか、気にならない人なんてたぶんいないと思うんです。でも、たとえば、みんなの前で発言するときに、「こんなことを言ったらどう思われるだろう」と気にしすぎて、自分の正直な気持ちにフタをしたり、偽ったりするのはほんとうにもったいない!
「自分はみんなからこう思われている」と、悪い方向に決めつける人がよくいます。極端な例になると、誰かに「元気?」と挨拶されただけで、「やっぱり、元気がなくて暗いって思われてるんだ……」とか、他人のちょっとしたひと言も、全部マイナスにとらえてしまったりする。
でも、その決めつけって、いったいどこまで当たっているんだろう?そこで僕はジュニア選手たちに、こんな課題を出すことがあります。ジュニア選手のひとりに、「自分はみんなからどう思われていると思うか」を書いてもらう。
同時に、ほかのジュニア選手たちには、「その子のことをどう思っているか」を書いてもらうんです。そして双方が書いた印象を照らし合わせてみると、ビックリするほど違っていることがほとんど。
「自分は暗いと思われている」と本人は思っているのに、ほかのみんなはその子のことを「明るくて元気がある」と思っているとか、まったく違う印象が出てくることもよくあります。
自分が思う自分の印象と、実際にほかの人が感じている自分の印象は、かなり違うものです。「自分はこう思われている」というネガティブな決めつけは、たいてい自分だけの思い込み。だから、それにとらわれる必要なんてありません。自分の思いや考えを大切に、自分らしくいることを心がけるだけでも、物事に対する見方が変わってくるはずです。
*ネガティブな思い込みにとらわれる必要はない
「すみません」は今日から禁句
「すみません」はいろいろな場面で使える便利な言葉。ただ、僕がジュニア選手にテニスの指導をするときは、「すみません」を禁句にしています。
というのも、1時間の練習中にいったい何回出てくるのかと思うほど、彼らが「すみません」を連発しているからです。1回ミスするごとに「すみません」と口をついて出ているんですよね。
そんなふうに、ほとんど無意識のうちに繰り返している「すみません」は、あやまる言葉というより、「いちおう言っておこうワード」です。相手に伝える言葉としては意味がないし、なによりよくないのは、自分自身が萎縮して、思うように行動できなくなってしまうこと。
安易に「すみません」を連発していると、ほんとうにあやまらなければならない場面で「すみません」と言っても、いつもと同じトーンに聞こえて、おわびや反省の気持ちが相手に伝わりにくくなることがあります。
また、日本人は本来、「ありがとう」と言う場面でも、つい「すみません」と言ってしまいがち。「すみません」と言うよりも、「ありがとう」と言ったほうが、言うほうも言われたほうも気持ちのいいもの。
そういう意味でも、「すみません」を連発するのは避けたいですね。あやまるべきときは、きちんと誠意を込めてあやまる。「すみません」という言葉は、意識的にコントロールして使うことが大事なんです。
*あやまるべきときは誠意を込めてきちんとあやまる