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学ぶ20代、学ばない50代…コロナ禍で浮き彫りになった「気まずい事実」

前川孝雄(FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師)

2021年09月23日 公開 2024年12月16日 更新

元『リクナビ』編集長として学生の就職活動を支援するなかで、就職したものの働きがいを見いだせずメンタル不調、早期退職を余儀なくされた若手社会人も多く目の当たりにしてきた前川孝雄氏。

その経験から企業側のマネジメントに大きな課題があると気づき起業。管理職自体もプレイングマネージャーであることを強いられる現状にも寄り添いながら、400社以上で人材育成を手がけてきた。

そんな前川氏が自らが出版社となり上梓した新著『人を活かす経営の新常識』では、「雇用を守る」経営の限界を指摘しつつ、人を大切に育て活かす会社になるための条件を示している。本稿では同書より、50代のキャリアについて触れた一節を紹介する。

※本稿は前川孝雄著『人を活かす経営の新常識』(株式会社FeelWorks刊)より一部抜粋・編集したものです。

 

リモートワークには満足、しかし生産性は上がらず…

新型コロナ感染症予防で、急速に普及したリモートワーク(テレワークと同義)。その傾向や課題に関する調査結果が相次いで発表されていますが、これらを丁寧に読み解くと興味深い実態が浮かび上がってきます。

日本生産性本部の「新型コロナウイルス感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査」(2020年5月)では、回答者の57%が在宅勤務に満足と答えた一方、66.2%の人が仕事の効率が下がったと回答しています。

Unipos 社の「テレワーク長期化に伴う組織課題に関する意識調査」(2020年4月)でも、リモートワーク開始前に比べてチームの生産性が「低くなった」が44.6%で、「高くなった」の7.6%を大きく引き離しています。

日本生産性本部調査によるリモートワークの課題を見ると、

「職場に行かないと閲覧できない資料.データのネット上での共有化」 48.8%
「Wi ─ Fi など通信環境の整備」 45.1%
「部屋、机、椅子、照明など物理環境の整備」 43.9%

の順。すなわち、リモートワークは楽だが、自宅は働く環境ではないため、生産性は低下しがちとの結果です。

 

部下より上司が在宅勤務を希望?!

日本生産性本部調査で、「緊急事態宣言」発出後に変化が生じた仕事を尋ねたところ、「販売」(68.7%)、「事務」(61.7%)「専門的.技術的な仕事」(61.7%)を抜いて「管理的な仕事」(77.4%)が最多でした。

また、「宣言」に伴い在宅勤務に切り替わった仕事としては、「専門的.技術的な仕事」(49.2%)に次いで「管理的な仕事」(44.1%)が多い結果でした。

管理的な仕事がすべて上司によるマネジメント業務ではないかもしれませんが、コロナ禍が及ぼす管理職への影響が大きいことは事実でしょう。

Unipos 社調査で、コロナ収束後もリモートワーク推進を希望すると答えたのは部下の41%に対し、上司は56.1%でより前向きです。しかし、リモートワーク下では部下の仕事ぶりが把握しづらいものの、リアルな職場での管理をそのまま移行するには無理があります。上司のマネジメントは無事機能しているのでしょうか。

折しも、2020年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化され施行となりました。上司が部下に対し一方向的で管理過剰な文字や言葉を放ったり、在宅での部下のプライバシーに立ち入り過ぎるなど、リモートハラスメントという新たなリスクも浮上しています。上司には、リモートワーク下のマネジメントに十分な配慮が求められるのです。

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将来不安のなかで学ぶ20代、学ばない50代

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