仕事よりも人間関係にエネルギーをとられ、消耗している。ちゃんと仕事をしているのに、なぜか同期よりも昇進が遅れてしまった。会社で働く日々にモヤモヤをずっと感じている。
『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』(堀田孝治著)は、会社員時代はストレスに悩まされ、休職に追い込まれ、出世も遅かった著者が、独立して受講者1万人の人気講師になった経験から、会社員に向かない人の特徴、そして雇われずに成功する方法を体系化した一冊である。
本稿では同書より、「そのことに本当に情熱を持って取り組めるか」を見極めるための方法ついて書かれた一節を紹介する。
※本稿は堀田孝治著『「会社は無理ゲー」な人がノビノビ稼ぐ方法』(技術評論社刊)より一部抜粋・編集したものです。
「得意」は人が、「好き」は自分が見つける
独立して成功するためには、「自分の得意なこと」を活かすことが重要ですが、私はそれ以上に「自分の好きなこと」で独立することがなによりも大事だと、この15年で確信しています。得意な人も、上手な人も、最終的には「好きな人」には勝てないのです。
「得意」と「好き」は違います。うまくできるかどうかと、それを好きかどうかは、まったく別次元の話です。
本当に得意かどうかは、本人よりも、周囲のほうが正確に評価できるものなのかもしれません。しかし、それを好きかどうかは、本人以外に、だれもわかる人はいません。
ですから、「好き」を見つけられるかどうかは、「得意」とは違って、自分1人にかかってきます。そしてこれは、客観的な思考や分析やデータではなく、文字どおり、主観的な感情や感性の問題なのです。
会社員の世界では、「得意なこと」が評価されます。そして、評価されるとうれしくなります。しかし、「評価されてうれしい」と「自分が好き」も、厳密には違います。
私は、強烈なリーダーの下で実務を一手に担う、「番頭」のような仕事をしたことがあります。そして、けっこう得意だったのです。そのリーダーも評価してくれるのでうれしく、会社員時代はずっと自分でも「番頭の仕事が好き」だと信じていました。
しかし、独立した今、はっきりと世界に向かって叫ぶことができます。「番頭の仕事は、『得意』だけど、『好き』ではない!」と。
「得意」と「好き」と「貢献」の重なりが独立には必要であり、どれも重要ですが、もしこの中で順序をつけるなら、私は「好き」を独立の一番の軸に据えるべきだと考えています。
「好きこそものの上手なれ」で、好きでさえあれば、今は不得意でも、将来得意になる可能性が十分にあるからです。そしてその貢献が、その仕事が好きでさえあれば、その遂行の道中でさまざまな困難に出会っても、クリアしていけるのです。
「得意」と「好き」と「貢献」の重なりを作る
「得意」と「好き」と「貢献」の重なりを作っていくアプローチには、大きく2つあります。この2つのアプローチは、2つとも、「好き」をその軸に据えています。
1つは、「好きな貢献」、つまり「好きな仕事」を先に見つけて、それを自分の「得意」なプロセスでできないかを考えていく、というアプローチです。
もう1つは、「自分の得意で好きなプロセス」からスタートするアプローチです。「得意で好きなこと」、私はそれを、独立を強力に引き寄せるという意味で「キラー・プロセス」と呼んでいるのですが、その「キラー・プロセス」を使って、どうやって、何をやって「貢献」していくかを考えるのです。
私自身は、前者のアプローチ1でスタートし、途中から後者のアプローチ2も加わり、というハイブリッドだったと思います。31歳で休職という挫折を経験した私は、復職後に2度と同じ目に遭わないように、自分のために、「仕事とはなにか」「どうやったら、もっとうまくできるか」を研究し、実践し始めます。
そんな私が、自分でも驚きましたが、人事部で、教育担当を拝命します。
「自分の失敗と回復の経験が、これからの若いビジネスパーソンの役に立つ!」
このような使命感が強くあったのはもちろんですが、私はノーロジックで「人財育成」の仕事にのめりこんでいきました。それは、理屈ではなく、好きだったからです。同時に、自分は会社員適性がそれほど高くないことも、徐々に明確になってきたのです。
「人財育成という好きな仕事を、自分の得意なことで、なんとか独立してできないものだろうか…」
その「好きな仕事」と「自分の得意」の接点が、「研修講師」だったのです。このように、「好きな仕事」がまずあって、それを「自分の得意」でどうやるかを考える、というのがアプローチ1になります。
一方で、アプローチ2のような思考も並行して自分にありました。アプローチ2的に整理すると、私の得意で好きな「キラー・プロセス」は、次のようなものです。
・わかりやすくすること
・ロジックとパッションとユーモアで伝えること
・体系化すること
・失敗を自己開示すること
「これらを使って、もっとも貢献できる仕事は」と考えたのが、「研修講師」と「執筆」だったのです。そしてまさにこの瞬間も、これらのキラー・プロセスを使って、原稿を書き上げるべく、悪戦苦闘ならぬ"良戦楽闘"をしています。