「ロジカルシンキング」を身につける方法
2012年04月05日 公開 2022年12月28日 更新
「ロジカルシンキング」――それはどのような仕事をしていても、他の会社で働くことになっても必要になる究極の「ポータブルスキル」だ。
HRインスティテュートの野口吉昭氏は、ロジカルシンキングは才能ではなく後から身につけられるスキルだという。ロジカルな人とロジカルでない人の違いは何か。詳しく解説していく。
※本稿は、野口吉昭 著『30ポイントで身につく!「ロジカルシンキングの技術」』(PHP研究所)より 、内容を一部抜粋・編集したものです。
「ロジカルな人」を探してみよう
ある人物が参加するだけで議論がまとまる、方向性が決まる、課題が見える。それまでモヤモヤしていた視界がぱっとクリアになり、やるべきことがわかる――。このようなシーンを誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。
場の目的を明らかにし、するどく本質をとらえ、すばやくわかりやすい道筋をつけることができる人、それが「ロジカルな人」です。このような人は経験や想いを大切にしながらも、論点を明確にし、枠組みを設定し、事実をもとに考える人です。
そして、決してロジックだけを振りかざすことなく、相手の声に耳を傾け、情報と感情をバランスよく取り扱い、納得しあえる答えにつなげることができる人です。
イチローから「真似ぶ」川崎選手
ここからロジカルシンキングを習得するためのコツについて触れていきます。
最初に質問ですが、ロジカルシンキングとは先天的な能力でしょうか?それとも後天的に身につけられるものでしょうか?
もちろん答えは後者です。当たり前のことのようですが、ロジカルな人を見ると、どうしても「あの人は違うから…」と思ってしまいがちです。
しかし、ロジカルシンキングは「スキル」です。したがって後から身につけることが可能な能力です。そう考えれば身につけるための方法はとてもシンプルです。
巷にある"スキル"と呼ばれるものを思い浮かべてください。たとえばゴルフのスイング。うまい人、下手な人、それぞれかと思いますが、上達するには何が必要かというと、「教わること」です。うまい人に教わるから、ゴルフは次第にうまくなっていくのです。うまい人のスイングを、見よう見まねで同じようにチャレンジして、次第に自分のクセがわかって、それを修正して……ということを繰り返すうちに身につくのがスキルです。
ポイントは「真似る」ことです。
私たちは「真似る」行為を、学ぶとかけて、「真似ぶ」と呼んでいます。ロジカルシンキングも他のスキル同様、「真似ぶ」ことで身につくスキルです。
では、具体的に「真似ぶ」とはどういうことでしょう。それは単にロジカルな人を見て、「すごいなー」と思うこととはわけが違います。
元ソフトバンクホークスの川崎宗則選手がイチロー選手にあこがれて、スイングやバッターボックスでの立ち振る舞い、試合以外の練習方法まで観察して吸収したように、ロジカルな人を見かけたら、「なぜ、この人の話し方はこんなにわかりやすいのか」「なぜ、この人はこのような視点を持つことができたのか」と、「なぜ?」「なぜ?」を繰り返して、具体的に自らに応用できるところまで深掘りして理解する姿勢が必要とされます。
「すごいなー」で終わる人と、「なぜ?」を考える人とでは、時間がたてばたつほど大きな差が生まれます。スキルは徹底的に「真似ぶ」ことから得られると考えてみましょう。