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「ロジカルシンキング」を身につける方法

野口吉昭(HRインスティテュート会長)

2012年04月05日 公開 2022年12月28日 更新

「つまり何が言いたいの?」と言われていないか?

では、ロジカルな人とはどんな人でしょうか?身近な人、有名な人…イメージできる人を思い浮かべてみてください。その際に、先ほど触れたように、自分にも応用できるかもしれない言動にまで細かく落とし込んで特徴をあげてみましょう。こうしてあげられる特徴のことを「コンピテンシー」と呼びます。

どうでしょう?特徴があがりましたか?思考・マインド面と行動・スキル面とに分けてとらえてみると考えやすいと思います。私たちが日々、トレーニングで接する中で、受講される方々からよくあがる意見をもとに整理したものが四三ページの表です。自分で記したものと比較をしてみてください。

まず、思考・マインド面でいうと、ロジカルな人はポリシーが明確な人が多いといえます。何かやることに対しては、常にゴールイメージにこだわっているのです。

「ロジカルだと思う有名人は?」と聞いてよくあがる方が、ユニクロの柳井正氏や池上彰氏。ポリシーや伝えたいことが明確な人は、目標を達成するために常に考える習慣があって、余計なことを思わないで済むので、ポジティブでいられるのです。

一方でロジカルではない人というのは、そもそも目指す目的がはっきりしていないために、判断がブレやすい傾向があります。物事の道筋を選ぶときに、どっちにすればいいかなというブレ以上に、目指すことそのものがブレると、現場は混乱します。

ここまでは思考・マインド面です。抽象的なので、イメージをしてもらう程度でかまいません。どちらかというと、この思考・マインド面よりも、行動・スキル面のほうが重要です。

ロジカルな人は「結論から述べるタイプが多く、一文が短い」「物事を整理してとらえていて、データに強い」「経験豊富であり、自信とともに物事を言い切る」―― こういう傾向があります。

一方でロジカルではない人は、「状況の説明に終始してしまって、つまり何が言いたいのかが相手に伝わりにくい」「経験に乏しく、インパクトのある情報で納得させることができないため、結果的に話が長くなる」「感情的に物事をとらえてしまうことで、語尾をにごしてしまったり、曖昧な表現が増える」という特徴があります。こういう人は、事細かに話さないとわかってもらえないと思うため、状況説明がさらに増えていく傾向があります。

事実をしっかり伝えれば、相手は理解できますので、端的に事実をとらえて、一文を短く言い切りながら話せばいいのです。

 

ロジカルな人のメール、ロジカルではない人のメール

メールの内容や扱い方でもロジカルか、そうでないかは一目瞭然です。ロジカルな人に共通する要素は、まず即レスであることです。たとえば、誰かからメールを受け取った瞬間、次の3つの方向性に仕分けします。

・すぐ判断して返信するか
・自分では解決できないので、他の人に転送(相談)するか
・すぐには判断できないので、その旨返信して、情報収集したのちに回答するか

メールを読んでおいて「後にしよう…」とそのまま放置、時間がたって、また読み返す……というような段取りはとりません。瞬時に判断することは思考のトレーニングにもなります。加えて、「後で…」と考えてしまうと再度、読み直す必要が生じ、余計な時間を使う原因にもなります。

そして、メールの文面も「論点(話の主軸となるテーマ)が明確でブレない」「内容が分けて構成されている」「一文が短い。言いたいことが明確」「相手が必要としている情報が事実とともに述べられている」「もし脱線する場合はP.S.などをはさみ、話を区切って示す」など、特徴はよく観察すれば山ほどあがります。

一方でロジカルではない人は、「レスが遅い」「タイミングにばらつきがある」「何についてのメールかが読み取りにくい(つまり、論点が不明碓)。言いたいことも不明確」「相手が必要としている情報よりも、自分が伝達すべき情報を優先し、感情的に表現されている」「話がフレームで整理されていない」「一文が長い」などの特徴があります。

ロジカルシンキングを身につける際に必要なのは、スキルである以上、ロジカルな人の言動面に着目して自分と比較してみることが大切です。自分で半ば強制的に行動を変えることで思考を変えるということが、スキルを定着させるうえでとても効果的です。

[ポイント]ロジカルな人の行動を徹底的に真似してみよう!

 

野口吉昭

(のぐちよしあき)

株式会社HRインスティテュート代表

横浜国立大学工学部大学院工学研究科修了。現在、株式会社HRインスティテュート(HRInstitute)の代表。中京大学経済学部・総合政策学部講師。NPO法人「師範塾」副理事長。FMヨコハマで「Yokohama Social Cafe」のDJも務める。
主な著書・編書に『遺伝子経営』(日本経済新聞社)『戦略シナリオのノウハウ・ドゥハウ』『コンサルタントの「質問力」』『コンサルタントの「ひと言」力』(以上、PHP研究所)『チームリーダーに必要なたった1つの力』(かんき出版)など多数。

HRインスティテュート

論理偏重ではない「使えるコンサルティング」「実効性のある研修」を柱としたコンサルティング・グループ。1993年設立。
ホームページ:http://www.hri-japan.co.jp
 

◇著者:(執筆者)紹介◇

・三坂健(みさか・けん)
課題解決コンサルティングチームリーダー。
大手保険会社での法人営業を経て、HRインスティテュートに参画。国内での活動の他、海外事業としてベトナム法人、韓国法人の事業支援を中心に行っており、日本とアジアの往復を繰り返している。早稲田大学エクステンションセンター講師。

・染谷文香(そめや・あやか)
チーフ・コンサルタント。
2児の母親。家事とコンサルタントとを両立させて活躍中。大手エレクトロニクスメーカーでの日欧米向け新商品開発業務の経験を活かし、企業のビジョン&戦略策定、新規事業(商品)立ち上げ、デジタルコンテンツ開発などをサポートしつつ、人材育成&トレーニングにおいても活動している。

・国友秀基(くにとも・ひでき)
チーフ・コンサルタント。
国内大手消費財メーカーをはじめ、様々な業界において長年にわたるコンサルティング、トレーニング実績を有する。クライアントと向き合う真摯な姿勢が支持されリピートも多い。以前は大手クレジットカード会社の人材開発部門に在籍。中京大学経済学部講師。

・東耕平(ひがし・こうへい)
コンサルタント。
食品関係会社を経て、HRインスティテュートに参画。農業、食、登山を軸にしたLOHAS志向のコンサルタント。NPO法人の運営にも携わり、企業人・学生支援など幅広く活動している。中京大学経済学部講師。

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