愛する気持ちとペットロス
私はペットロスのカウンセリングをしています。現場でいつも感じるのは、動物たちがとてもとても愛されているということ。
飼い主さんのお話をお聞きするたびに、とめどなくあふれる愛情を感じます。愛情の表現方法はさまざま。静かにペットへの想いを語る方、涙が止まらなくて言葉にならない方、ときに自分の至らなさや悔しさから、怒りを表現する方、動物との関係性や亡くなり方によって100人いれば100通りのお別れがあります。
動物病院にいると、思いがけないタイミングで命の終わりを突きつけられるケースに遭遇し、心が痛みます。職業柄、感情をコントロールするようにしていますが、それでも一緒に涙したり、もっと何かできたのではないかと考えてしまいます。獣医師にも多いのではないでしょうか。
動物を迎え入れるときや元気に生活してくれているときは考えたくないですが、お別れはいつか来るもの。心のどこかに「いずれ来るお別れ」を覚悟をして、1日1日をより大事に暮らさなければいけないと切に思います。どこかのタイミングで一度じっくり考えておくことが必要かもしれません。
動物とのお別れを経験したとき、どんな気持ちになるのか、そしてその気持ちとどのように向き合って生きていくのが望ましいのか、カウンセリングの中で動物や飼い主さんから学ばせてもらったことを伝えることで少しでも喪失感が軽減できればと思っています。
心身に不調をきたしたら無理をせずに病院へ
ペットロスは大切なペットとお別れをすれば、誰もが経験する反応です。体調面での変化を感じる人もいるでしょうし、気持ちや考え方、行動などにも変化があるかもしれません。あまりにも経験したことがない喪失感で、心が痛くてどうしたらよいか戸惑うこともあるでしょう。
悲しみが永遠に続くような絶望的な気持ちにおそわれることもあると思いますが、「日にちぐすり」という言葉があるように、ほとんどの人は時間とともに悲しみはやわらぎ、心の傷が少しずつ癒えてくることを感じるはずです。
それでもうつ的な状態になることもあります。朝起きられず仕事にも行けない、食欲がない、眠れないなど、生活や体調面で変調が続くときは、無理せず早めに内科や心療内科に相談してください。
自分でどうにかしようと頑張りすぎることは、ペットロスを長引かせることにもなります。ペットを亡くしたことを会社で言えずに仕事を頑張りすぎたり、無理をして平気な顔をする必要はありません。限界になる前に、周りに助けを求めてくださいね。