災害大国ニッポンで愛鳥をどう守るべきか。本稿のテーマは「避難生活」。新型コロナウイルスの流行により在宅避難が推奨されるなど、昨今の避難事情は大きく変わりつつあります。
避難所に受け入れを拒否された場合など、やむを得ない事情で愛鳥は家に置いたままお世話に通う方法や、愛鳥との避難所暮らしに役立つアイディア、鳥の非常食についてご紹介します。
※本稿は、『決定版 鳥と一緒に生き残る防災BOOK』(日東書院本社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
ペットや飼い主は「災害弱者」
災害時はパニックで被災者の気も立っています。「人の水もないのにペットに飲ませるのか?」そんな言葉が浴びせられることがあるのも事実です。
一般に「災害弱者」とは高齢者や障がい者、乳幼児、妊婦など災害時に特に支援を必要とする人を指しますが、ペットと、ペットを守ろうとするとき飼い主もこの「災害弱者」にあたるのではないかと本書では考えます。
助かるためには人の手を要するという点では、ペットは人間の赤ちゃんと同じですが、赤ちゃんは受け入れてもペットは受け入れない避難所があることなどを考えると、赤ちゃんを守るお母さんよりペットを守る飼い主さんの方が課題は多いといえるでしょう。その自覚があれば、災害への備えもおのずと変わってくるはずです。
ペットのための防災対策は基本的に飼い主に任せられています。愛鳥を守るためには行政に頼る気持ちを捨て、あなた自身が備える必要があります。必要なモノ・コトを準備し、正しい知識を得て、愛鳥を守れる強い飼い主になりましょう。
どこで避難生活を送るか
避難生活といえば避難所で生活するものと思い込んでいる人がいるかもしれませんが、自宅での生活が可能ならば自宅で過ごすのがベストです。避難所ではここに割り当てられるスペースが狭く、プライバシーを守るのも難しいですし、鳥も慣れた家で過ごせたほうがストレスが少ないでしょう。
ライフラインが止まるなどして自宅で生活するのが難しいときも、鳥だけは自宅に置いて人は避難所で寝起きし、毎日お世話に通うという方法も。避難生活の送り方はさまざまあるのです。
またペットの同行避難と、避難所で同居して生活することは同じではありません。同行避難とはペットを連れて避難することで、国の方針ですが、避難所での同居生活を意味するものではありません。避難所は動物が苦手な人やアレルギーのある人もいることから、ペットは人とは別のスペースに置かれることが多いのです。