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生き方

理想を追求する一方で「適度な諦め」も必要

倉田真由美(漫画家/エッセイスト)

2011年01月24日 公開 2023年01月12日 更新

 

失敗・失恋を怖がるな!

 おそらく、現代の若い人たちは、「諦める」ということをマイナスに捉えすぎているのではないでしょうか。ですが、人生には“適度な諦め”が必要です。逆に人間は、どこかしら諦めたり、マイナス要素を受け入れたりしながらでないと、前に進めない。そうやって考えを転換すればいいのです。

 かつて遠くない昔、結婚は、あらかじめ親や周囲の人が決めた人とするのが「当たり前」でした。だからこそ、成婚率も高く、子供もたくさんいた。配偶者の親の老後の面倒をみることも「当たり前」でした。それゆえ、理不尽なことであったとしても受け入れられていたのです。

 これが「当たり前」でなくなった現代は、それが「我慢」となり、多くの人が「我慢するのは嫌だ」といっているのです。しかし人間は、獲得すると同時に諦めなくてはいけないこともある。そして、それを嘆く必要はないし、不幸なことでもなんでもありません。

 逆に、なにもかももっている人が幸せということでもない。「よい仕事→獲得。次に結婚→獲得。その次に子供→二人目の子供……」と、すべてを得ようとしている人は、なにか一つでも獲得できなくなったとき、とても苦しむことになります。私の友人に不妊治療をしている女性が二人いますが、一人は「できないなら仕方ないか」という姿勢。しかしもう一人は、それはそれは血眼になって取り組んでノイローゼ気味になり、果ては「妊娠している人をみるだけで腹が立つ」といった状態になっている。こうなると、やはり不幸ではないでしょうか。

 人生において、得るものと失うものの合計は、ほぼプラスマイナスゼロだと思います。私自身も、なにかを手に入れるたびに、なにかを諦めている。結婚相手も、本当はお金をもっている男性がよかったけれど、実際に結婚した人の会社は倒産しました、お金を貸してください、という人だった(笑)。だから私は仕事をし、むしろいま育児休暇をとれません。育児をしながらの仕事は、数は減らさざるをえないし、自分の時間もいっさいナシです。

 だけど、いまの自分に後悔はまったくありません。現在の夫と結婚したことも、子供を授かったことも、本当によかったと心から思います。

 さらにいえば、人生において失敗を怖がってはいけません。いま、たった一回の失恋でくじけてしまう若者が多い。怖がってばかりいる人は、結局なにも手に入れられません。

『だめんず・うぉ~か~』を読んだ男性の意見で多いのが、「こんなダメ男になぜ彼女ができる?(こんなマトモな)オレにはできないのに……」というもの。実際に女性は、一癖あったり、一風変わった男性を好んだりするので、どんな男性でも怖がっていないで、どんどんチャレンジすればいいのです。

 その際は、結婚や育児に対しても、仕事に対しても、夢や理想のために頑張るのは大切。一方で、追いかけるだけでなく、失敗してもいい、さらに“適度な諦め”も大切、という心持ちで臨むことです。そして、そう思うことができれば、結婚も育児も、じつはそうハードルが高いことではない、と思いませんか?

 

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