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90歳以上の9割が後悔していることは? 調査で見えた「人生を不幸にする原因」

ひすいこたろう(作家)

2024年05月20日 公開

2012年の発売以来、10年以上にわたり売れ続けている『あした死ぬかもよ?』。現在38万部と突破しているこの本に掲載されている、興味深いエピソードを紹介します。

アメリカで、90歳以上の方を対象として行ったアンケートで「90年の人生を振り返って唯一後悔していることはなんですか?」という質問をしたところ、なんと、90%の人が同じ答えだったのです。その答えとは?

※本稿は『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を一部抜粋・編集したものです。

 

人生を終える日、どんな気持ちになっていたら最高ですか?

ほんとにやりたいことをやる人生と、ほんとはやりたくないことをやる人生。あなたはどちらを選びますか?

ほんとうにやりたいことをやる人生を選びたいですよね。

しかし、予言しましょう。このままの生き方を続けると、人生最後の日、あなたはかなりの確率で後悔することになります。

冒頭の質問に対して、90%の人が答えたこと、それは、

それは......

「もっと冒険しておけばよかった」

このままの生き方が続いたら5年後、あなたはどうなっているでしょうか? このままの生き方が10年続いたらどうでしょうか? このままの人生を過ごしたら、人生の最後の瞬間に後悔することになりませんか?

あの世には、お金も家具も服も家も持っていくことはできません。だから、この世で財産を失うことは、ほんとうの不幸ではありません。

では、この世の最大の不幸はなんでしょう?

それは、死が間近に迫ったときに、自分の人生に後悔することです。死ぬ前に後悔することこそ、最大の不幸です。

しかし、それを避ける方法がたったひとつだけあります。

いま、この場でしっかり自分の死を想像してみればいい。死を真剣に見つめることで、あなたは自分の「本心」(ハートの声)に気づくことができる。

 

「死」を「生きる」ためのスイッチにする

どういうわけか、人は、「自分だけは死なない」と思っています。「死ぬのはいつも他人ばかり」。画家のマルセル・デュシャンが、そう墓碑銘に刻んだように。

でも、残念ながら、僕らが死にいたる可能性は100%です。「オギャー」と、うぶ声をあげた瞬間から、1秒1秒、いまこの瞬間も死に近づいています。

かつてサムライたちが、あれだけ潔く、情熱的に生きられたのは、「自分はいつか死ぬ身である」という事実から目をそらさずに、「この命を何に使おうか」と、日々心を練っていたからです。

死をやみくもに恐れるのではなく、サムライたちのように、死を、ちゃんと「活用」しませんか? 

死は、生を完全燃焼させるための、最高の「スイッチ」にできるんです。いつか死ぬ身であることがハートに落ちたとき、人は自分のほんとうの気持ちを取り戻す。

お釈迦様の花と呼ばれる蓮の花。蓮の花は、きれいな水の中で大輪の花を咲かせることはできません。池の水が汚れているほど、美しく大きな花を咲かせます。そして、その花びらは3日で散っていきます。たとえ3日の命でも、自分らしさを咲かせたならば、それは美しい生き方になります。

それが命というものです。ありのままの自分で、その湧き上がる本心から生きたとき、たとえ3日の命でも、そこに後悔はない。それが命というものです。「死」と向き合うことで、ほんとうの自分(本心)に会いに行こう。

人生最後の日に、どんな気持ちになっていたら最高ですか?
このままの生き方で、それは達成できそうですか?
できないとしたら、いつから生き方を改める?

人生は、どんな質問を自分に投げかけるかで決まります。

 

あと何回桜を見られるだろう?

人生80年として、1年を1回としてカウント。いま30歳なら、桜を見られるのは、「80-30=残り50回」です。

どんなに空が曇っていても、雲の上にはいつもお日さまが燦然と輝いています。同じように、どんなに悩みという雲で心が覆われていたとしても、ハートの中心には、「仏性」が宿っていると仏教ではいいます。

仏性を辞書で引くと次のようにあります。

「仏性とは、すべての生き物が生まれながらに持っている、仏となることのできる性質」。

しかし、すべての人が心の奥で「仏性」を宿しているのに、なんで、社会で成功する人もいれば、しない人もいるのだろう。そこに疑問を持った修行僧がいました。

「なんでなんだろう?」

あなたはどう思いますか?

その疑問を、修行僧は、師匠の道元に尋ねてみました。道元は、鎌倉時代に曹洞宗を開祖したカリスマ禅僧です。道元の答えは次のようなものでした。

「成功する人は努力する。成功しない人は努力しない。その差だ」

さすが、師匠。しかし、その夜、弟子はまた疑問が湧いてきました。人間は、みんな仏性を宿しているはずなのに、どうして努力する人、しない人が出てくるのだろうと。そこで、翌日また道元に尋ねました。道元の答えはこうでした。

「努力する人間には志がある。しない人間には志がない。その差だ」

なるほど! 道元の答えに弟子も納得しました。しかしその晩、またまた疑問が湧いてきたのです。仏性のある人間に、どうして志がある人、ない人がいるのだろうと。弟子は再び問いました。道元は答えました。

「志のある人は、『人間は必ず死ぬ』ということを知っている。志のない人は、『人間が必ず死ぬ』ということを本当の意味で知らない。その差だ」

 

メメント・モリ=死を忘れるな

古代ローマでは、凱旋した将軍が、みなに拍手喝采で迎えられるパレードをする際、従者をつけて、必ずある言葉をささやかせたそうです。どんな言葉だと思いますか?

戦争に勝った将軍が、喜びの絶頂にいるときに、必ずささやかせた言葉。

それは、「メメント・モリ」(memento mori)。

「死を忘れるな」という意味です。

自分はいつか死ぬ存在であることを忘れなければ、有頂天になることもなく、物事をいつも正しく判断できるからです。

また、フランスのストラスブール大聖堂の祭壇には、「死のアレゴリー」という、髑髏の絵が描かれているそうです。

「あなたもやがてこのような姿になる。ゆえに絶えず私(髑髏)を記憶し、私を見つめよ」

というメッセージです。

ファッションアイテムにもよく使われる髑髏モチーフには、もともと「死を忘れるな」という意味が宿っていたわけです。

今日亡くなる方は世界で約15万人います。人生最後の日は必ず来ます。それは残念ながら、必ず、です。

もし、あなたが30代だとしたら、桜をあと50回も見られないかもしれない。

地球があと太陽の周りを50周する間に、人生は幕を閉じます。地球が、グランドを50周する間にです。

さあ、ここまで読み進めてくる間にも、あなたの寿命は縮まっています。それが現実です。この現実から目を背けてはいけない。

その自覚こそが「差」になる。

「命がけで生きる」という言葉がありますが、僕らは、みんな、生まれたときから命がけなんです。

 

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