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デキる上司ほど「社内の悪い情報」を把握している理由

小松俊明(リクルーターズ代表取締役)

2012年11月08日 公開 2022年12月07日 更新

部署内の風通しをよくすることが、伝達ミスや新人の育成など多くの問題を解決につながる。こう語るのは、リクルーターズ株式会社代表取締役の小松俊明氏。管理職として部下の能力を引き出し、育て上げるコツとは。

※本稿は、小松俊明 著『デキる上司は定時に帰る』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

部署内の「風通し」をよくするコツ

デキる上司ほど、多くの情報を持っているものです。

上司が持っている情報というと、何か秘密めいていて部下に知らせてはいけないもののようなムードが漂いますが、ここで言う情報とはそうしたものではなく、部下にとって有益な情報のことを指します。

もちろん、集まってくる情報のなかには開示すべきでないものもありますから、それは自分のなかで留め置くとして、積極的に部下と共有していくべきものは、惜しみなく出していくべきです。

ダメな上司ほど情報を独占したがるものですが、これはあまり感心しません。部署内の風通しが悪くなるだけです。

情報には、上司だからこそ知り得る情報がある一方で、上司だから耳に入ってこない情報もあります。部下同士の摩擦や、部下レベルで解決できてしまう小さなミスやトラブルが、そのいい例でしょう。

こうした情報も、上司として知っておくべきことなのですが、ちゃんと報告されることは少ないものです。なぜなら、上司の耳に入れることが部下にとってマイナスになるからです。

とはいえ、上司が知らないまま放置しておくのは危険です。

取引先の部長と会ったときに、「いやぁ、この前、御社の鈴木さんからもらった見積書が間違っててさ」などと言われて、初めて事実を知るようでは上司失格でしょう。

本来ならば自分のほうから、「先日はうちの鈴木が大変失礼いたしました」 と、謝るべきなのですから。

こうした情報をいかに吸い上げられるかも、上司としての力量なのです。部下が報告しづらい情報を得るためには、日頃から「誰でもミスをすることはある」という考え方を表明しておくことです。

そして、ミスを報告してくれたことを「評価する」という姿勢を示しておくことです。そうすれば、見積書を書き間違えてしまった鈴木くんも、

「本日、取引先にお渡しした見積書の数字を間違えてしまいました。もちろん、お詫びをして、すぐに訂正したものをお送りしました。先方も許してくださったのですが、念のためお伝えしておきます」と報告してくれたことでしょう。

ミスや失敗に対して、すぐに電話を入れて謝るべきなのか、後日会ったときにお詫びをすればいいのか、その判断は情報が届いてからすればいいことです。

重要なのは、部下が、「先方が許してくれたから、まあいいか」と勝手に判断してしまうような土壌をつくらないことです。

 

「悪い情報」こそ把握しておく

人間が集まって活動をする以上、そこに揉め事や対立が起きてしまうのは、仕方のないことです。それが自分の部署のなかで起きてしまったら、丸く収めるのは他ならぬ上司の仕事です。

部下の立場からすると、解決したいと思っていても、「子どもじゃないんだし、こんなことを課長に話したら告げ口したみたいだな」と、言わないで済ませようとするでしょう。

しかし、部下同士で摩擦が起きていることを上司が知らなければ、当事者間の対立が予想以上に大きくなるかもしれません。

また、チーム全体の空気が悪くなる可能性もあります。

このような部下同士の摩擦は、本人からはなかなか聞き出せないもの。だからこそ、当事者以外の部下から情報が得られるようにしておくのが理想的です。

もちろん、「キミと山本、ケンカしてるんだって? 佐藤さんが言ってたよ」などと、情報提供者の名前を出したりするようでは信頼関係を失います。

なので、「最近、山本とヨソヨソしくないか?」と、あくまでも「自分が気づいた」というふうを装い、情報を知らせてくれた佐藤さんの立場にも配慮すべきです。

そうしなければ、誰も情報を提供してくれなくなるでしょう。

部下は「いい情報」しか上げてきません。しかし、上司として必要なのは、むしろ「悪い情報」のほうなのです。その点を踏まえて、部下から「悪い情報」を引き出せる上司を目指しましょう。

 

有益な情報をメールで発信する

デキる上司はメールを駆使して、自分に集まる情報を部下にどんどん発信しています。こうすることで部下は、上司の仕事の内容はもちろん、上司のものの考え方や行動パターンをメールを通じて自然と理解していきます。

私もこの習慣を見習って、部下にどんどんメールを送っています。

内容によって、CCにするかBCCにするかを間違えなければ、メールを転送することは何ら問題ありません。

部下に転送するメールは、進行中のプロジェクトの件から、見積書の送付例、お詫びのメールなど、多岐にわたります。

お詫びメールは、上司として格好悪いと思ってしまいがちですが、部下に「お詫びメールの書き方」をマスターしてもらう好機です。私の部下も、私のお詫びメールからテンプレートを作成して、各自が活用しています。

 

「お手本」を部署内で共有する

また、ある部下からもらったメールを他の部下に転送することがあります。

簡潔によくまとめられた報告メールは、いいメールの「サンプル」として他の社員にも参考にしてほしいですし、部署のなかで共有しておきたい情報でもあります。

特に入社してきたばかりの新人には、このメールの転送を積極的に行ったほうがいいでしょう。メールを読むことで、その職場の仕事の進め方が理解でき、仕事のコツを覚える近道になるからです。

私自身、情報を開示するようになってから、部下のパフォーマンスが上がる手応えを感じるようになりました。

このように日頃から情報の提供を心がけておけば、情報格差がなくなり、チームのなかに強い一体感が生まれるようになるでしょう。

 

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