何事も本題からはじめたほうが、時短になったりスマートな印象があるかもしれません。しかし、その場の雰囲気づくりの意味では物足りないこともありそうです。矢部太郎さんの新刊『ご自愛さん』より、矢部さんが絵本・紙芝居作家のお父さんと講演会の舞台に上がったときのお話をお届けします。
※本稿は、矢部太郎著『ご自愛さん』より内容を一部抜粋・編集したものです
ほぐす
ペットボトルに筒をさして、クリアファイルで作ったリードをつけて吹くだけ。オナラのような大きな音が出るラッパです。見た目以上の大きな音が出る意外性に、ついつい笑いがあふれます。
すぐ本題に入ったほうが効率が良いしスマートですが、私たちは、そんなふうにはできていないのかもしれないですね。
来客にお茶を出すように、喫茶店ではお冷が出てくるように、時候の挨拶から手紙を始めるように、心をほぐして近づける父のラッパのようななにかが必要なのかも。
人に会うときは心にあのラッパを持っていたいと思います。オナラのような音が、講演会で人に良く見られたいと思っていた僕に警笛を鳴らしてくれる気もします。