あまり気が進まないけど、なんとなく参加している集まりがある。「感じ悪い」と思われそうで、自分の都合を後回しにしがち。本当は必要なくても、親切にされると断れない...そうやって疲れをためているあなたに必要なのは、思い切って「いい人」をやめてみること。本記事では、「心の境界線」の引き方を分かりやすく解説。周囲に振り回されるのをやめ、自分を守りながら良好な人間関係を築くためのヒントをお届けします。
※本稿は、下村志保美著『人生が整うノート』(扶桑社)より一部抜粋・編集したものです。
一緒にいて「疲れる人」と「元気になれる人」
つきあう相手を、どう選んでいくか。わかりやすいのは、一緒にいて疲れる人か、元気になれるかという視点です。
あなたの周りに、会うとどっと疲れが押し寄せてくるような人はいますか? 一緒にいて「自分の話を横取りする(もしくは話を聞いていない)」「愚痴ばかり吐き出される」「否定ばっかりされる気がする」と感じる相手とは、なるべく顔を合わせたくないですよね。
一方で、「話しているといろんなアイデアが湧いてくる」「ありのままでいられる」「帰り道に気分が軽くなる」ような人たちとは、大事に絆を深めていきたいもの。エネルギーをもらえるぶん、こちらからも惜しみなくエネルギーを渡したくなります。
疲れる人と元気になれる人、どちらの人と過ごす時間が多いかで、毎日の質がまったく変わってきます。
ただし、気が進まない人間関係をなんでも切り捨てればいいということではありません。ママ友つきあいなど、子どものことを考えると避けられないような場合も当然あります。
そういうときは、「何のための人間関係か」を明確にするといいかもしれません。そもそもママ友とは子どものための人間関係であり、主役は自分ではないですよね。子育ての一環と思えば、向き合い方も変わってくるはずです。
周囲の目を気にするのは「他人軸」で生きているから
誰にでも好かれる人、どこに行っても人気者になれる人って憧れますよね。私自身は、人前に出る仕事をしているので「社交的な人」と思われやすいのですが、実はどの場所でもソツなく振る舞えるタイプではありません。仕事なら平気なのですが、初対面の人が集まるパーティーなどは、いつも心細くなってしまいます。
そんな自分をわかっているからこそ、人づきあいでは周りに合わせすぎず、己の器を超えた「いい人」をやらないようにしています。
私の娘は中学・高校時代に、全国各地への遠征がある部活に入っていました。保護者同士の絆も強く、子どもたちがどこかへ行くとなれば、保護者同士で約束して移動することが多かったです。
あるとき、大阪で大会がありました。みんなでスケジュールを合わせて新幹線で移動しよう! と盛り上がっていたのですが、私はほかのお世話や予定の都合もあって、1人で飛行機で向かうことにしました。
感じが悪い人と思われてしまったら...そう心配しないわけでもなかったのですが、結果的には何の問題もありませんでした。同時に、単独行動をしている保護者の方はほかにもいることに気づきました。
周囲の目を気にして「好かれる人」「いい人」でいようとするのは、他人軸での生き方です。思いきってやめてみると、新しい世界が見えてくるかもしれません。
人間関係にも「固定費」がある
実は人づきあいにも固定費があります。「積極的に参加したいわけではないが、なんとなく続いているつきあい」のことです。
● 特に深い話はしないけど、毎月集まっている友人グループ
● 本当は苦手なのに、距離を置けない職場の人間関係
● SNSでつながっているけど、もう実際には会わない人
● あまり親しくない親戚の集まり
など、思い当たる節はありますか?
これらは、かつては大切な関係だったかもしれません。でも時間が経てば、関係性は変わっていきます。今の自分にとって時間とエネルギーを取るだけの関係であれば、それは重たい固定費です。
私の場合、夫の転勤の都合もあり、何年かに一度は強制的にご近所づきあいが変わってしまっていたのと、過去の人間関係にあまり執着しないほうなので、「ここから一生抜け出せない!」「苦しい!」という悩みは少ないほうかもしれません。それでも、人づきあいの見直しを定期的にするようにしています。
人間関係の固定費を見直すことは、心のスペースをつくることでもあります。連絡の頻度を減らす、LINEグループの通知をオフにする、たまには参加をスキップするなど、適切な距離をとることが大事です。
「境界線」は健全に関わり続けるためにある
あなたは精神的な「境界線」の概念を知っていますか? 心理学では「バウンダリー」と呼ばれ、自分と他人の間にある境目を指します。
心の境界線がしっかりしている人は、自分と相手の感情を分けて考えられます。一方で境界線が薄い人は、相手の感情と自分の感情が混ざりがちになります。
共感力が高いのは悪いことではありませんが、「できること」と「できないこと」、自己と他者を切り分けることが大切です。
人間関係について悩みを抱える方の話を聞いていると、意外と「身近な親切な人」に悩んでいたりします。たとえば、「同じマンションに住んでいる人が、子ども服のおさがりを譲ってくれる。本当は必要ないけど、断ると申し訳ないので受け取ってしまう」「義実家から野菜が大量に送られてくる。食べきれなくて腐らせてしまい、申し訳ない気持ちになる」などのケースです。
相手の気持ちを重視しすぎて疲弊することは、不健康な状態です。もし断ることが難しいなら、いったんは受け取っていい。ですが、贈り物は受け取った瞬間にその役目は終了しています。善意はありがたく受け取り、ものは処分したっていいのです。
境界線は、相手を拒絶するためではなく、「自分を守りながら、健全に関わり続けるため」にあります。