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「私立大学250校削減」の衝撃 生き残りの鍵は“大学間国内留学”にあった

西山昭彦(立命館大学客員教授)

2026年09月08日 公開

2026年、財務省が公表した「私立大学250〜400校程度削減資料」。ただでさえ私立大学の半分弱が定員割れの現状にあって、大学はどうすれば生存できるのか。大学間の交換留学制度で学生の人的交流と大学および地域の活性化を図るアイデアについて、立命館大学客員教授がそのメリットを説く。

※本稿は、西山昭彦著『立命館の快進撃』(PHP研究所)を一部抜粋・編集したものです。

 

大学法人の経営危機 250〜400大学が減少

日本私立学校振興・共済事業団(私学事業団)が662の学校法人の24年度決算をもとに調査した結果、26法人が「自力再生が困難な状態になる恐れがある」(レッドゾーン)、181法人が「経営困難な状態が懸念される」(イエローゾーン)とされた(『朝日新聞』2026年4月21日)。合わせると、約3割になる。

また、総務省「人口推計」によると、50代前半の人は約196万人(2025年、平均値)、20代前半は約124万人(同)。2025年の出生数はついに70万人を切り、67万人。これでは、国内向けのビジネスは量的に大幅に縮小せざるをえない。

供給面では、人材不足がより深刻化し、成り立たない事業が増える。他方、需要面では、需要の縮小が収入減をもたらす。その1つが大学だ。これから250〜400大学が減少するという財務省の資料も出された。

そんな中、立命館大学は逆に今後さらに躍進すると見られている。理由は、教育の結果=卒業生の活躍がめざましい。しかも、公認会計士・国家総合職合格者数で明らかなように、若い層ほどその傾向が一段と高まっている。国家公務員総合職合格者は1998〜2025年で964名、公認会計士は同1040名、司法試験合格者は新司法試験(法科大学院制度)開始から25年で640名である。それ以前の合格者は把握できていないが、この3つの合格者だけで約2600名になる。もちろん民間企業での活躍も増えており、筆者の教え子の多くも有力企業に就職し、東京勤務で活躍中だ。

そして、大学のもう1つの使命である研究力が、中央官庁等の研究関連公募の採択結果で明らかなように、立命館大学では年々かなりの速度で強化されている。採択されることで研究に力が注がれ、組織変革も進み、周辺も含めて成果が上がる。そのプロセスを通じて、さらに大学自身が発展するという好循環が回っている。

 

「大学間国内留学制度」は学生確保にもプラス

2026年8月21日『朝日新聞』によると、文部科学省は大学での学びの質を高めるため、留学をカリキュラムで必修とする学部に、学生の留学費用を含む諸経費を支援する事業を始める方針を示した。大きなポイントは、海外留学を基本としつつ、都市部の大学から地方の大学など「国内の他地域」への「留学」も対象とする点だ。

私はかねてより、日本全体での大学間の国内留学制度の普及を提唱してきた。

東京生まれで、東京の大学に行き東京の企業に勤める。私や友人はほとんどこれだ。1つの地域しか知らないので比較分析ができず、視野が狭い。本来海外留学が視野を広げるのにベストだが、それは一部の人にとどまる。

大学4年のうち1~2年国内の他の地域の大学に行く。それを経験することで、視野も発想も変わる。4年間同じところにいるより、成長できる。私自身が立命館大学に勤務し、関西の生活をしたことで、視野が広がり意識も変わった。関西への親近感が増し、東京を相対視することもできた。

国内留学で、学生が東京から地方へ行く。地方の学生は、都心の大学に入学しなくても今の大学在籍のまま東京や京都等へ行く(地方大学の学生確保にもプラスになる)。異体験をすることで、お互いの学生が学生生活をエンジョイし成長できる。双方の大学、地域の活性化にもなる。行った先で知り合いができ、ネットワークも形成される。それが将来活きて、ビジネスや趣味の世界を広げる。

全国220万人の学生の一割がこれに参加したら、日本全体のことを考える人々が増え、国として政治経済の方向も決めやすくなる。今のままでは「地方の活性化」と言っても、東京人にはイメージできない恐れがある。大学がこの制度に一斉に取り組み、国の支援も受け、学生の体験を豊かにして日本の人的基盤を強化できればと思う。

著者紹介

西山昭彦(にしやま・あきひこ)

立命館大学客員教授

立命館大学客員教授

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