会社法・2014年改正のポイント
2014年10月27日 公開 2022年08月08日 更新
《PHPビジネス新書『[改訂版]わかる!会社法』より》
会社法とは
会社法とは、会社の組織・運営など、会社に関する事項を規定した法律です。
以前は、会社に関する規定の多くは、企業及び企業活動に関する規定である商法の一部として定められていましたが、会社法という独立した法典として2005(平成17)年6月に成立し、2006(平成18)年5月に施行されました。
会社法を制定した狙いの1 つは、「会社に関する法律を読みやすく、理解しやすくすること」です。それ以前は、会社に関するさまざまな法律を総称して「会社法」と呼んでいて、いくつかの法律を読み比べなければ、法律の内容を正しく理解することができませんでした。会社法の成立により、「会社に関する法律」が1 つにまとめられたことで、無駄な労力が省かれ、分かりやすくなったといえます。
もちろん、会社法の条文はただ読むだけではすんなり頭に入ってきませんが、弁護士等の専門家の多くも、実用的に整理された解説書等を利用しながら会社法を理解しようと努めているので、自信を失う必要はありません。
会社法は、次のような内容で構成されています。
■会社法と金融商品取引法との違い
上場会社には、会社法とともに金融商品取引法(金商法)が適用されます。
会社法は会社組織・運営全般にわたるルールが定められているのに対し、金商法は投資家の保護と国民経済の健全な発展という観点に立ち、有価証券の適正な発行・流通を目的とした規定を定めています。このように両法は制度の趣旨・目的が異なるため、内部統制や情報開示などについても、かなり異なったものとなっています。
【会社法と金商法の主な違い】
会社法/金商法
1. 規制の対象となる会社
すべての会社/上場会社等
2. 会計情報開示の相手先
株主、債権者などの利害関係者/投資先
3。開示すべき内容
計算書類等/投資判断に影響を及ぼす情報
4. 計算書類等の作成
計算書類等の作成義務/キャッシュフロー計算書、連結財務諸表の作成義務
5.社外役員の活動状況の報告
必要/不要
6.内部統制報告
経営者の有効性の評価等は不要/経営者の有効性を評価、外部監査人の監査・証明が必要
また、上場会社は会社法と金商法が重複して適用されることから、金商法に定める有価証券報告書を提出した会社は、会社法で定める決算報告は不要とするなど、さまざまな点で整合性が図られています。