30代、40代で“効率よく結果を出す”ための仕事術
2014年09月26日 公開 2022年12月07日 更新
では、もう少し具体的なノウハウとして、効率よく結果を出すための仕事術を紹介していきたいと思います。
アウトプットを明確に決める
◆危険な思考パターンとは?
仕事を効率よくやるために必要なことは、アウトプットを明確に定義することです。目標が決まっていなければ、何を目指してやったらいいのか分かりませんから、当たり前と言えば、しごく当たり前のことです。
でも実は、多くの人はこれができていません。
例えば、あなたがビール会社の企画部の課長代理で、部長から来期の営業戦略をつくる仕事を与えられたとしましょう。来期の営業戦略と言われていますので、それなりにあなたは、どうやってこれをつくっていこうかと考えはじめます。まず、今年の営業状況のレビューをしよう。顧客の動向を調べよう。競合会社の営業戦略を調べよう。どれも正しいことばかりですが、時間のかかる作業でもあります。
どれから取りかかろうかと考え、向こう3カ月のプランを組みます。そして、まず、営業状況のレビューから始めます。実績のデータを取ることは比較的容易です。自社のシェアが伸びているのか、他社はどうか、すぐに分かるでしょう。
次に、シェアを伸ばした競合会社の営業戦略を明らかにしようと決めたとします。あなたは、自社の営業マンにインタビューし、話を聞いていきますが、いろいろな話が出てきて、どれが本当か分かりません。新聞や雑誌の記事を検索しても、さまざまな切り口からの分析があって、ますます分からなくなります。
そこで、あなたは、今度は大口顧客のスーパーやコンビニを訪問し、インタビューを始めます。ここでもさまざまな話が出てきます。
こうして、あなたは、迷路に入り込んでいきます。早く、競合会社の営業戦略を明らかにしないといけないと焦りはじめます。そして、戦線を拡大し、他にもいろいろと調べたり、話を聞いたりしますが、混乱する一方です。
こんなことを、あなたも経験していないでしょうか。きっとあると思います。
しかし、このような思考パターンが危険なのです。なぜなら、あなたが考えているのは、アウトプットである成果物ではなく、そこにたどり着くためのプロセスばかりだからです。
もともと、与えられた仕事は、自社の来期の営業戦略をつくることだったのに、いつの間にか、競合会社の今期の営業戦略を明らかにすることがあなたの仕事のプライオリティになってしまったのです。自社の来期の営業戦略を考えるための材料に過ぎなかった他社の今期の営業戦略が目的になってしまったのです。
つまり、最初はアウトプットがかなり明確に定義されていたのですが、仕事をやりつづけるうちに、アウトプットからプロセスに関心が移り、その目的を見失ってしまったのです。
◆スケルトン(骨組み)をつくれば、効率化間違いなし
これを避けるためには、最初からアウトプットとなる成果物の形をつくっておくことが役に立ちます。今は中身が分からないので、空っぽでいいですから、スケルトン(骨組み)だけの最終レポートをつくっておくのです。
例えば、決めるべき営業戦略の中身として、「1ページ目 顧客ターゲット.セグメント、2ページ目 商品戦略、3ページ目 広告戦略、4ページ目 営業戦略、5ページ目 売上計画、6ページ目 予算」というように、大枠をつくってしまいます。
こうして最終目標がはっきりと決まったら、しめたものです。後は、それを埋めていけばよいのですから、無駄な作業はなくなります。最終成果物に使うものだけを調べていくことになるのです。
読者の皆さんも、ここまで明確かつ詳細にアウトプット=成果物の中身を決めていなかったのではないかと思います。どちらかと言えば、成果物にたどり着くプロセスをどうするか、つまり、競合会社の営業戦略について調べようとか、顧客ニーズについて調べようという考えはあったと思いますが、これを埋めれば成果物はできあがり、というところまで、突き詰めていなかったのではないでしょうか。
でも、こうすると簡単です。こうしたスケルトンをつくるのも、そんなに難しいことではありません。先に私がつくったページ立ては、多くの皆さんも、上司から「成果物の形を示してくれ」と言われれば、同じようにつくったと思います。
問題は、1時間、2時間かけて、これをやるかどうかです。やれば目標が明確になり、無駄な作業をいっさいしなくてもよいようになります。
ところが、これができないのです。最初は、答えが見えていないので、答えのかたちをつくることに躊躇してしまうのです。それが、後の作業を混乱させる原因です。特に、1人ではなく、チームでやるようなときは、他のメンバーの方向性を一致させるためにも、この作業をやることが必要です。
今自分の頭のなかに入っている知識、経験に基づいて、無理やりにでもアウトプットのかたちを考えるのです。頭のなかから絞り出せば、何か出てくるものです。
これを頑張ってやれば、途中で道を見失うこともなく、一直線にアウトプットへ向かって進んでいけますから、仕事が効率化すること、間違いなしです。