「かわいがられる人」とは?
2015年11月02日 公開 2023年01月18日 更新
《『かわいがられる力』より》
人は好かれると、好きになる
Kさんのことは今でも大恩人だと感謝しています。ですから、今でもこの会社の商品を店頭で見ると、このときのことを思い出します。
先日買った万歩計もこの会社のもので、見ただけですぐに買ってしまいました。
当時、私はKさんのために最善を尽くして仕事をしましたが、Kさんもまた、私の
想像を超えるような行為を私にしてくれました。
私たち人間には、
「好意には好意で報いる」
「受けた恩は返す」
「そっちがそうくるなら自分も……」
といった行動が見られます。
これを「好意の返報性」といいます。
仕事上の情報をもらった際、たとえそれが有益な情報ではなくとも、「自分のことを気に掛けてくれている」「好意を抱いてくれている」といった想いを一般的には抱きます。
そして、「何かがあった際にはお返しをする」「自分も好意を抱いていることを示したい」といった感情が具体的な形になることで、仕事上のつながりが深まっていきます。
相手に与えるのが「物」だとわかりやすいのですが、形がない場合もあります。
それはたとえば、相手との会話の中で、共感を示すこと、すなわち、
「相づち」
「うなずき」
「オウム返し」
などといった行動をとることです。これで相手に「私はあなたに共感し、尊重しています」という気持ちを伝えるのです。すると不思議なことに相手も「相づち」「うなずき」「オウム返し」をするようになり、こちらに対しても共感し、尊重してくれるようになってくるのです。
実はかわいがられる人は自然とこれをしています。
反対に、悪気はないのだけれど反応が薄い人がいます。全然、うなずきも相づちもしてくれない。私もこんな人と話していると、「この人はちゃんと私の話を理解してくれているのか」「もしかしたら、怒っているのか」とちょっと不安になってしまいます。
たったこれだけで、相手への印象は相当違ってくるので、絶対反応をしたほうが得です。私の研修で、相づちを打つ人はおおよそ1割〜2割くらい。とくに男性は相づちを打つことが少ない。もしかしたら心の中では共感しているのかもしれませんが、それでは伝わりません。
話し方のテンポが速い人、遅い人
では、ここであらためて相手への共感と尊敬を示す「相づち」「うなずき」「オウム返し」のポイントについて見てみましょう。
まずは「相づち」「うなずき」ですが、これは「相手の会話のリズムに合わせる」ことが重要です。
話し方のテンポが速い人、ゆっくりな人、それぞれリズムを持っています。速い人には会話の流れが途切れないように「相づち」を入れましょう。たとえてみると、卓球のラリーのような感じですね。軽快に「そうですね」「なるほど」「はい、よくわかります」などと短い相づちを打ちます。
一方、ゆっくりな人に対しては、まるでゴム風船を打っているような感じです。卓球よりずいぶんゆっくり、打ち方も軽く、柔らかい感じです。
「うーーーん」「そうですねーーー」とやや伸ばし気味の「相づち」になります。
同様にうなずきも、速い相手にはうなずく頻度が多くなりますし、ゆっくりの人の場合はうなずきの数は減り、そして深くうなずくようにもなるでしょう。
相手をよく観察し、相手のテンポを決して崩してはいけません。
「オウム返し」も同様にテンポを崩さずに相手の言ったことを繰り返します。
相手のために何かする、または何かを与えるというとたいそうなことのように思ってしまいますが、実は相手への好意というのはこんな細部に宿っているものなのです。