“人間関係”を豊かにする、「ほんのちょっとの気配り」
2012年08月22日 公開 2024年12月16日 更新
何故か一緒にいて居心地のいい人、何故か一緒にいるとモヤモヤする人。人間関係の豊かさを左右するのは、誰もができる「ほんのちょっとの気配り」なのだ。
著述家の本郷陽二氏が伝える、人間関係を楽しく築きあげるヒント。
※本稿は、本郷陽二 著『一緒にいて楽しい人・疲れる人』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
「~でいい」と「~がいい」の決定的な違い
ちょっとした一言なのに妙に心にひっかかる。そんな経験がありませんか。発言した方はたいして気に留めていなくても、言われた方はなんとなくモヤモヤしてしまう……。
K子さんは、友人のB子さんに対して、そういった思いを抱いていました。
たとえば、誰かに手伝いを求めるとき、B子さんは、
「誰か手伝ってほしいんだけど……。ああ、K子でいいや」
と言うのです。そのたびにK子さんは心の中で、「他の人でもかまわないなら、わざわざ私にふらないでよ」と思ってしまいます。
確かに、「~でいい」という言い方には、「本当は別の人がいいのだけれど、見当たらないので、仕方ないからあなたに頼む」というニュアンスが感じられます。
こんな投げやりで、どうでもいいような頼み方では、喜んで手を貸すという気持ちになれないのもうなずけますね。でも、もしB子さんが、
「誰か手伝ってほしいんだけど……。あ、K子がいいな」
と言ったとしたらどうでしょうか。K子さんが適任だからぜひ頼みたい、というニュアンスが伝わってきます。これなら、協力する方もやる気が出ますね。
また、K子さんが飲み物をいれるとき、B子さんに「何にする?」と聞くと、「私はコーヒーでいい」とか、「喉が渇いてるから、アイスティーでいい」のように答えます。これにもK子さんはモヤモヤしてしまいます。
他人が飲み物をいれてくれるのに、「~でいい」はありません。こういったシーンでは、
「私はコーヒーがいいな。お願いしてもいい?」
「喉が渇いてるから、アイスティーが飲みたいな」
のように答えるべきでしょう。
プロポーズの際に、「君でいい。結婚してくれ!」などと口にしたら、破談間違いなしですよね。「~でいい」と「~がいい」は1文字しか違いませんが、受ける印象はガラリと変わります。
日頃から「~でいい」を使っているとしたら、思わぬところで出てしまわないように気をつけるべき言葉なのです。
落ち込んだ気持ちをスッと救う一言があります
人生はうまくいくことばかりではありません。いえ、うまくいかないことの方がずっと多いかもしれないのです。
しかし、いくら思いどおりにいかないとわかっていても、失敗や困難な状況にぶつかると気持ちは沈んでしまうでしょう。そんな時、そばで支えてくれる友達の存在が頼もしく感じられるものです。
では、大切な友達が落ち込んでいる時に、どんな言葉をかけるでしょうか。「元気出して」とか「頑張れ!」といった励ましの言葉が、まず思い浮かぶかもしれませんね。
しかし、頑張り抜いて駄目だった時や、精一杯やったのに結果がついてこないで落ち込んでいる相手には、この言葉は禁句です。
なぜなら、ギリギリまで頑張っている人をさらに追いつめて、「まだまだ頑張りが足りない」と否定しているようなニュアンスを与えてしまうからです。
落ち込んでいる友達には、まずその人の気持ちに寄り添い、悲しい時は一緒に悲しみ、悔しい時には一緒に悔しがってあげるのが一番ではないでしょうか。
「そうなんだ、そりゃあ悔しいよ。僕だったらやけを起こしちゃうね」
「そうだったの。つらかったね。聞いている私まで涙が出ちゃうわ」
などといった言葉は、傷ついた心に沁みるでしょう。
落ち込んでいる相手を見ると、何とかしてあげようと思い、つい助言をしたくなるものです。でも、気持ちが弱っている時には助言を受け止める元気もありません。だからこそ、ただひたすら気持ちを共有してあげましょう。
また、本人はうまくいかなかったことを必要以上に気にしているものです。そこで、「そういうことってよくあるよ」「誰でも1回くらいは経験があると思う」のような言葉をかけるのもいいでしょう。
失敗や挫折が自分だけでないことがわかれば、少しずつ気持ちが上向きになっていくからです。
困難を乗り越えるたびに友情は深まり、互いの距離は近づくといいます。あまり難しいことは考えずに、ただ友達の気持ちを素直に受け止めるのが一番の励ましになるようです。