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事業承継、何歳までに社長を退けばよいか?

鑄方貞了

2016年08月05日 公開 2024年12月16日 更新

後継者を育て、事業承継を円滑に行なうために留意すべきこととは? 会社員時代に幅広い分野で活躍し、現在、経営コンサルタントとして後継経営者教育に力を入れている鑄方氏が、事業承継における陥りやすい問題点や徹底すべきポイントを具体的な事例をもとに解説する。

※本記事は『衆知』2016年5・6月号、連載第1回「後継者育成のためのキーポイント」より一部編集、抜粋したものです。

 

事業承継には最低でも10年はかかる?

事業承継は計画的に

計画づくりのポイントを見ていきましょう。高齢期を迎えた経営者というのは、2つのタイプに分かれます。1つは生涯現役で社長業をずっと続けたいと考えるタイプ。もう1つは、元気なうちに社長を譲ろうと考えるタイプです。このうち圧倒的に多いのが前者です。

理由としては、社長業が楽しくて仕方がない。社長を譲ると収入が減るので、以前のような付き合いができなくなる。社会的地位や立場を失う不安感が大きいといったところでしょう。しかし、いずれは社長を譲らなければならないのが現実です。ずるずると先延ばしにするのではなく、明確な承継計画を立てておく必要があります。

それにはまず、経営者自身が何歳までに社長を退くべきかを見極めることが重要です。日本人の寿命が長くなったのはよいことだと思いますが、老化が進むと、なにかとわがままになったり、辛抱できなくなるケースが多いので、その前に次のステップへと進むべきでしょう。

私は基本的に75歳になったら経営の第一線から退くべきだと考えています。そのためには、65歳までに社長を退いて代表取締役会長になり、70歳までに代表権を返上し、75歳には相談役やファウンダーとなって経営から完全に引退するのが望ましいでしょう。

いつまでも経営を続けることはできません。まだ正常な判断ができるうちに、バトンタッチするのがベストだと思います。

事業承継には、最低で10年ほどかかることが見込まれます。社長を譲ったとしても、後継社長が次の段階に向けて順調に歩んでいくには会長による適切なサポートが必要ですし、金融機関や得意先、仕入先などへの信頼関係を維持させていくことも大事です。また、株の移譲などの税務対策なども、長い期間が必要となってきます。

 


鑄方貞了(いかた・ていりょう)
1974年関西大学法学部卒業後、タイガー魔法瓶株式会社に入社し、特許、営業、製造、商品企画、人事、経理を担当。’90年に繊維商社の役員として数々の部門を担当した後、1995年アクティブ経営研究所を設立。人材開発・経営コンサルタントとして、経営戦略立案、営業、組織活性化など、多くの分野で活躍している。

 

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