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生き方

「漠然とした不安」は書いて整理しよう

大野裕(精神科医)

2016年11月09日 公開 2023年09月12日 更新

書いていくうちに思い込みが見えてくる

 そこで「コラム法」と呼ばれる認知療法で、7つの質問事項を埋めていくことにより、「自動思考」を是正することができます。

 まずは、現実に起きて問題となっている出来事(①状況)を記入します。次に、そのときの出来事に対する感情とその度合い(②気分)を記入します。そして、そのとき、出来事をどう捉えたか(③自動思考)を書き出してみましょう。この時点で「考えと事実が必ずしも同じではない」ことに気づける方も多いでしょう。

 続いて、自動思考を裏づける具体的な事実(④根拠)を挙げます。さらに、自動思考によって出た結論と反対の事実(⑤反証)を書き出します。ここまで記入すれば、考えを整理することができ、客観的な見方ができるようになります。問題の本質にも近づいているでしょう。そして最後に、「もし?のように工夫したら改善できるのではないか」といったしなやかで前向きな考え方(⑥適応的思考)を見つけることができるはずです。「前向き」と言うと「悪いことばかりじゃないよ」といった楽観的な姿勢のことだと考えがちですが、本来の「前向き」とは、次のプロセスにつながる考えのこと。現実を受け止めたうえで、どう改善していくかを具体的に考えていけるようになることです。

 適応的思考に辿り着き、なんとかできるかもしれないと考えられるようになると、⑦いまの気分は軽くなります。最後にそれを書き出します。

 コラム法で考えを整理したら、適応思考でたどり着いた工夫を実践してみてください。もちろん、簡単なことからで十分。小さくても結果を出していけば、自信がついてきます。

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マイナス思考のスパイラルに注意を

著者紹介

大野裕(おおの・ゆたか)

精神科医

1950年、愛媛県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。コーネル大学医学部留学、ペンシルベニア大学医学部留学、慶應義塾大学教授を経て、現在は、独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター長。医学博士。日本認知療法学会理事長。
著書に、『はじめての認知療法』(講談社現代新書)、『こころが晴れるノート』(創元社)、『不安症を治す』(幻冬舎新書)などがある。認知療法活用サイト「こころのスキルアップ・トレーニング:うつ・不安ネット」(ウェブ・モバイルともにhttp://www.cbtjp.net)を発案・監修している。

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