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すぐ始めて、すぐ変えて、すぐやめる! 小山昇の超速仕事術

小山昇(株式会社武蔵野代表取締役社長)

2017年03月02日 公開 2017年03月06日 更新

動作ではなく、スタートを早くする

スピードとは、速く「動く」ことではありません。そうではなく、早く「始める」ことです。でも、多くの人が、スピードの概念を勘違いしています。

武蔵野の成長が早いのは、スタートが早く、物事の旬を逃さないからです。

iPadは600台を導入してますが、これもほかの会社に比べて随分早い決定でした。私はタブレット端末を1996年に初めてオランダで見ましたが、そのときは「使い物にならないな」と思いました。

その後いPadがリリースされると、Eメールが見られパソコンより立ち上がりが早い。これならばと早々に導入を決め、私以下、役員、部長、課長に導入し、数カ月後、社員、アルバイト、パートに配りました。

高性能のiPadも、それまで触れたことのない不慣れなタブレットです。スタートが早くても、すぐに使いものにはなりません。一番ひどい社員は、渡してから3カ月間、支給されたiPadを箱から出しませんでした。

優秀社員賞のデキる国松美夏でもそうです。理由は簡単で、面倒くさいから。

しかし、社員を責めるわけにはいきません。ラクして高い給料をもらいたいのが社員ですし、それは人間としてごく当たり前の正しい行動です。

武蔵野のiPad活用が進んだのは最初から「私用OK」にしたからです。ゲームもいいし、ひとりでこっそり観る映画もいい。一定の料金までは、自費で払うなら利用OK。

私用で使うから、iPadのスキルが一気に上がりました。先日、ある1兆円企業のシステム部長が見学にきました。普通の会社はホストコンピュータをキーボードで動かしているところ、武蔵野はiPadで動かしているからです。同じことができている会社は、世界で200社ほどしかありません。旬を逃さず、iPad導入を早く決めたおかげです。

素早い意思決定には間違いは付きものです。iPadが500台に達したとき、そのうち200台が3G版で、300台がWi-Fi版でした。しかしWi-Fi版では、会社を一歩出たら使えなくなる。そのことに遅まきながら気がついた。そこで、iPad全台を3G版に切り替えました。

切り替えのための費用は、およそ4000万円に達しました。

これを聞いて震え上がる人もいますが、私のいう「スピード=早く始める」に照らせば、まったく問題ありません。これで残業が激減して、人件費が1.5億円減少した。すぐにやめれば、最初の判断を間違えても致命的なダメージを負うことはありません。お役御免になったWi-Fi版は、破格の値段で社員に販売しました。

数字だけ見れば、4000万円の投資は無駄ですが、得られるモノのほうがはるかに多かった。

早いスタートが切れるのは、今やっている取り組みが最高と思っていないからです。

「これがマックスだ」と思った瞬間に、成長は止まります。

まだできる、もっといい方法があると思えば新しいものをどんどん取り入れることができます。

 

※本記事はPHPビジネス新書『小山昇の超速仕事術』より一部を抜粋編集したものです。

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