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家は購入すべきか、借りるべきか?~老後資金の視点から、55歳の大学教授が答えます!

榊原正幸(青山学院大学教授)

2017年03月07日 公開 2023年02月02日 更新

※本記事は、『老後資金、55歳までに準備を始めれば間に合います』より一部を抜粋編集したものです。

家は購入すべきか、借りるべきか

私が「マイブームは老後対策」と思い始めて、最初に着手したのは自宅の購入です。いわゆる「終の棲み家か 」を確保しておこうと考えたのです。老後に借り家住まいでは心許ないと思ったこともありますし、住宅ローンはどうしても長いローンになりますので、もし家を買うなら少しでも早めに始めたほうがいいと思ったというのもあります。

また、長期的に先を見越して、インフレ対策をしておこうという思いもありました。そして、自宅を購入しておくことというのは、最も安全で効率的な不動産投資にもなると考えたのです。

不動産投資は「せんみつ」といわれており、本当に投資する価値のあるよい物件というのは「千に三つ」しかないというほど、成功するのが難しい世界です。しかし、そんな中でも、比較的成功しやすい不動産投資として、「自宅投資」というのをオススメしたいと思います。

「自宅投資」というのは、不動産投資のような感覚で「自宅」を取得することを指した造語です。「自宅」を取得するというのも、広い意味での不動産投資になるという考え方です。

「分譲(=購入)か、賃貸か。どっちがお得⁉」といったようなタイトルの特集をよく雑誌などで目にします。この議論については、「ライフスタイルや価値観によって人それぞれなので、一概にどちらが得とはいえない」というのが最も的を射た解答なのですが、「一概にどちらが得とはいえない」というのでは解答になっていないようにも思いますので、ここでは少しユニークな角度から、広い意味での不動産投資として自宅を購入することについて考えます。

先に結論を書きますと、ここでは「分譲(=購入)か、賃貸か」については、「分譲(=購入)」に軍配が上がるという立場で考察を展開していきます。自宅(自己居住用の不動産)は、賃貸ではなく、物件を慎重に検討したうえで購入したほうがよいというわけです。

本書では、「老後対策」の一環として自宅投資を推奨します。なにしろ、老後において「食う寝るところに住むところ」がなければ話になりません。

また、「ずっと賃貸でいいよ」という考えの人でも、一定以上の高年齢になってしまうと、貸してもらえなくなる可能性もありますので、やはり「食う寝るところに住むところ」は自前で確保しておいたほうがいいという考えが根底にあります。

本書では、「老後対策」というところに軸足を置いて考えますので、自宅投資についても「老後対策」ということが思考の底流にあるのです。

そもそも、「老後に住むところがなくなる」または、「老後には、狭くて汚いところにしか住めない」というのが最も惨めなパターンなので、それを避けようというのが発想の原点です。そう考えると、賃貸ではダメで、「わりとお気に入りの自宅」を買っておくことが重要です。それを準備するというのが、老後対策として最初に行なうべきことなのです。

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最も重要なのは「購入のタイミング」

著者紹介

榊原正幸(さかきばら・まさゆき)

元青山学院大学大学院教授

1961年、名古屋市生まれ。名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。その後、渡英して英国レディング大学に入学。帰国後の97年より東北大学経済学部助教授。2003年、東北大学大学院経済学研究科教授。04年、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。21年3月に退任し、東京・青山を拠点にして、ファイナンシャル教育の普及活動を続けている。著書に『60歳までに「お金の自由」を手に入れる!』(PHPビジネス新書)がある。

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