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アーユルヴェーダ式 こころが元気になる食事の基本

蓮村誠(医学博士/マハリシ・アーユルヴェーダ認定医)

2017年03月01日 公開 2024年12月16日 更新

最強のこころをつくるのは「できたて」の食事

こころのエネルギーになる

いつでも穏やかで安定していられるような、強いこころを育てるために増やしたいもの─それはサットヴァ(=純粋性)です。

この純粋性をもっとも多く含んでいるのが、じつは“できたて”の食事。

さらに、できたての温かい食事には、オージャス(=生命エネルギー)もたっぷり含まれています。温かく消化もしやすいので、アグニ(=消化力)の負担にもなりません。ですから食べた直後から、こころとからだに活力がもたらされ、元気になることができるのです。

もちろん、より純粋な素材をつかった料理であればさらによいですが、どんな食べものであっても、“できたて”の食事はこころを安定させ、強く育てていくエネルギーになります。

 

古いものはエネルギーにならない

となると当然ですが、つくって時間が経ってしまったものや残りものは、こころの活力にはなりません。古いものにはタマス(=不活発性)の質が多くなるため、こころが覆われやすくなって、重く怠くなりやすいのです。

また、つくってから時間の経った冷めたものは、消化もよくありませんし、オージャスも減っています。そうした意味で、コンビニやスーパーのお総菜やお弁当などには、こころが元気になる要素はこれっぽっちも含まれていません。

こころに元気を取り戻したいのなら、炊きたてのご飯とみそ汁など、シンプルなメニューで十分ですから、できたてを食べるよう心がけてみてください。

 

食事の順序で、こころの安定度が変わる

コース料理の順番はまちがっている!?

ふだんあまり意識しないかもしれませんが、食事をどういう順番で食べるかは、からだの消化の面でもこころの満足度の面でも、とても大切です。

フレンチやイタリアンなどのコース料理では、最初に前菜から食べ始めますが、じつはまちがっています。

最初に食べるべきは、温かいスープ。

「これから食事をはじめるぞ」というときにスープを飲むと、からだにやさしい重みが染み渡って、ヴァータ(=乾燥や風の質)が整います。温かいスープを飲むと、こころがホッと落ち着く感じがしますね。あのホッとした感じというのが、ヴァータが落ち着いたときの感覚なのです。

そして同時に、これからはじまる食事に備えて消化力を働かせる合図になります。ですから、食べる順番は、消化の負担にならないスープからはじめて、じょじょに重たいものを食べていくのがベストです。

ときどき箸休めに野菜などを食べ、最後も煮野菜やスープなど、消化にやさしいもので締めくくるのがよいでしょう。

こうした順序で食べるようにすると、けっして食べすぎることなく、深い満足感を得ることができます。その満足感は、こころの安定にもつながるのです。

 

朝昼晩の食事量がこころの元気を決める

昼食をメインにして

日本人の食生活は、まだまだ夕食がメインになっています。でも、こころとからだの不調をなくすために、ぜひこの習慣を変えていきましょう。

わたしたちの消化力は、昼の時間帯にもっとも強くなります。ですから一日のメインにすべきは、昼食。肉や魚などの消化しにくいものでも、昼食になら食べてもかまいません。

夕食は昼よりも量を減らし、野菜の煮物や鶏肉料理など、消化によいものにします。

昼食でしっかり満足感を得ておくと、じつは夜に食べすぎることがありません。反対に昼を抜いてしまったり、簡単に済ませてしまったりすると、こころが満足できていないので、夜になって重たいものをたくさん食べたくなってしまうのです。

 

朝食は消化力の火付け役

そして朝食は、三食のうちでいちばん少なく、軽くしてください。といっても、何も食べないのはよくありません。温かい野菜スープやみそ汁とごはんを軽く一杯というのがちょうどよいでしょう。

朝、軽めに食べることで、昼に向けて消化力が高まっていきます。わたしたちの消化力は、朝目覚めてから段階的に働きはじめるので、その火付け役として朝食が必要なのです。

逆に、朝にがっつり重たいものを食べすぎてしまうと、こころもからだも重くなり、気怠い気分が一日中つづくことになります。

軽めの朝食と満足感のある昼食、そして食べすぎない夕食。この食事量をつづけていると、こころも(もちろんからだも)すこぶる元気になるはずです。

 

本書は、蓮村誠著『「こころの不調」の9割は食事で治せる』(PHP文庫)より、一部を抜粋編集したものです。

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