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リラックスだけじゃない !「心も強くする」入浴法

松村浩道(江の島弁天クリニック院長)

2017年03月12日 公開 2023年09月12日 更新

 

温泉の泉質はここをチェックしよう

ここまで自宅での入浴についてお話ししてきましたが、温泉には自宅での入浴よりも高い効果があります。

ハードな仕事で交感神経優位の状態が続くと、メンタルの疲労が蓄積します。我慢し続けた末に、ある日、うつ病を発症する、ということにもなりかねません。ですから、ストレスが溜まってきたと感じたら、温泉へと出かける「積極的休養」を取ることをお勧めします。

温泉にはさまざまな泉質のものがありますが、中でも「ナトリウム塩化物強塩泉」は別名「熱の湯」とも呼ばれ、温熱効果が抜群です。ナトリウムが皮脂と反応して皮膚の表面を覆う膜を作り、保温してくれるからです。その膜が取れてしまわないよう、入浴後は身体を洗い流さず、バスタオルで身体を包みこむのがいいでしょう。

自宅でも、塩など、ナトリウム塩化物を含んだ入浴剤を使うことで、同様の効果が期待できます。

別名「心臓の湯」と呼ばれる炭酸泉は、末梢血管拡張作用が強いことがわかっています。自宅なら、炭酸ガスを出す入浴剤を使うことで、身体の隅々まで温めることができます。

泉質の他にも、温泉には自宅での入浴よりも優れた点がさまざまあります。

ユニットバスよりも広い浴槽のほうが、また、普通の入浴よりも露天風呂での入浴のほうが、ストレスの減少やリラックス度の増加が見られることも知られています。

また、温泉地は、山の中など、自然の豊かな場所にあることが多いので、日頃の環境から離れた場所に身を置くことで緊張がリセットされる転地療法や、森林浴の効果も期待できます。森林の木々に含まれるテルペンなどの揮発性物質は、ストレスホルモンの1つであるコルチゾールを減らす働きを持っているのです。

古くから、温泉には病を癒す力があると考えられてきましたが、その効果・効能が科学的に検証されるようになってきています。時折、意識的に温泉地に足を運ぶことは、ビジネスマンとして長くコンスタントに成果を上げるために有効な習慣だと言えるでしょう。

 

著者紹介

松村浩道(まつむら・ひろみち)

江の島弁天クリニック院長

1966年生まれ。米国ストレス研究所日本支部代表。日本医科大学卒業。同大学附属病院麻酔科、関東逓信病院(現NTT東日本関東病院)ペインクリニック科などを経て現職。痛みの治療に携わる中で温泉医学や東洋医学、精神医療などの研究を深め、心身相関・脳腸相関を重視した全人的・包括的診療を行なっている。著書に『対人関係のイライラは医学的に9 割解消できる』(マイナビ新書)、『脳腸相関で未病を征す』(七星出版)がある。

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