感じのいい人は、決して特別な才能を持っているわけではありません。誰も見ていない場所での気遣い、その場に合った声の大きさ、そして相手が安心して話せる聞き方――。そんな日常のさりげない振る舞いの積み重ねが、自然と「品のある人」という印象をつくります。小さな心配りは、相手への思いやりであると同時に、自分自身を磨く習慣でもあります。
本稿では、一般社団法人JCMA代表理事でコミュニケーション講師の吉井奈々氏に、人間関係をより心地よくするために、感じのいい人が実践している3つの習慣を紹介していただきます。(イラスト:松本麻希)
※本稿は、吉井奈々著『なぜか、また会いたくなる 感じのいい人の心がけ帳』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
見えないところも整える
席を立つとき、次に使う人を思ってそっとテーブルを整える。コピー機の紙が少なければ、気づいたときに補充しておく。誰も見ていない場所での1秒の気遣いに、その人の品のよさはあらわれます。
気づかれなくていい、評価されなくてもいい。そんなやさしさは静かに巡ります。そっと手渡した思いやりが、また他の誰かへとつながっていくのです。
古くから日本には「お天道様は見ている」という言葉があります。誰も見ていなくても、天は見ている。だからこそ、人に知られなくても、静かに善い行いを重ねていく。その積み重ねを「陰徳(いんとく)」と呼びます。
こんな陰徳も素敵です
・会議室を出るとき、使った椅子を整えて戻す
・手を洗った後、周りに飛んだ水滴をさっと拭く
・トイレットペーパーを使い切る前に、新しいものを補充する
・倒れている傘を、そっと立て直す
こうした行いを重ねることで、「自分は、見えないところでも丁寧にふるまえる人だ」と、静かな自信が育っていきます。誰かの評価に振り回されなくていい。自分なりの美しさを確実に積み重ねていく。
すると、やがてあなたの佇まいに「隠しきれない気品」があらわれ、言葉にしなくても伝わる「品」になっていきます。
--♪お天道様と自分だけの「内緒のいいこと」。自分を大好きになれる、一番ぜいたくな習慣です♪--
"声の大きさ"を選んでいる
同じ言葉でも、声の大きさ1つで受け取る印象は大きく変わります。
静かな場所での大きな声は、相手を驚かせ、場の空気を乱してしまう。逆に広い場所での小さな声は、「何を言っているのか聞き取れない」という不安を与えてしまう。その場に合った音量を選べる人は、自然と相手と空間の両方に目を向けています。
「今、ここにいる人が気持ちよくいられるか」その意識が、自然と声にもあらわれる。
それはマナーというより、相手を大切に思う気持ちです。
心地よいボリューム表
●小:電車やカフェでは隣の人にだけ届く音量で
●中:相手が聞き取りやすい音量で、やさしくはっきりと
●大:会議やプレゼンは一番奥まで届く「輪郭のある声」で
--♪声のボリュームをポチッと切り替える!それは、相手への「おもてなし」です♪--
聞き方がやわらかい
相手を追い詰めるのではなく、理解しようとする。
その姿勢は、聞き方に自然とあらわれます。
NGなあいづちは「たちつてと」。
た「だから?」、ち「ちょっと待って?」、つ「つまり何?」、て「で?」、と「どういうこと?」。
こうした言葉は相手の話をさえぎり、心を閉じさせてしまうことがあります。
感じのいい人は、こう聞きます。
「どうしてそう思ったの?」「もう少し聞かせてくれる?」。そのひとことで、相手は「否定されていない」と感じ、本音がふっとこぼれてくるのです。
「つまり何?」と急かすのではなく「もう少し聞かせて」と心にゆとりを持ってみる。相手の感情の奥にそっと目を向けて、言葉を探す時間を静かに待つことも、聞き上手な人の思いやりです。
--♪「たちつてと」は会話のブレーキ。まずは「そうなんだね」って全部受け止めてあげるのがコツですよ♪--