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くらし

それって認知症の始まり?「あれ、なんだったっけ?」の原因は?

長谷川嘉哉(医学博士、認知症専門医)

2018年02月21日 公開 2022年06月30日 更新

ワーキングメモリを解放する習慣づくりに役立つ3つの方法

ワーキングメモリは筋トレのように負荷をかけて鍛えるよりも、次々と解放していくことで効率よく使うことができるようになります。なぜなら、空いたスペースに新たな作業、新たな記憶を入れることが可能になるからです。

逆にワーキングメモリの解放が苦手で、うまく使えていない人は、「『忙しい、忙しい』が口癖のわりに作業効率が悪く、仕事ができない」「仕事にストーリー性がなく、場当たり的に取り組んで、ミスが多い」「『あれ? なんだったっけ?』などの突発的な物忘れが多い」といった特徴があります。

5つから7つのワーキングメモリが飽和状態になると、脳のネットワークがうまく働かなくなり、作業効率の悪化やミスを招きます。また、飽和状態のところに新しい課題が現れると、脳は本人の意思とは関係なく古い課題、生命の危機に直結しない作業から忘れていくのです。

日頃からワーキングメモリを解放する習慣を心がけていると、こうした事態を避けることができるようになります。

そのための具体的な手法は、「すぐやる、メモする、書き出す」という3つの方法です。

◯すぐやる
例えば、業務で生じた課題の中で、すぐに対応できるものは持ち越すことなくその場で処理しましょう。ワーキングメモリが解放されます。忙しい人ほど、その場でメールや電話をして一瞬で仕事を終わらせてしまうものです。

◯メモする
一方、すぐに対応できない業務についてはメモにして状況を把握し、優先順位を書き出しましょう。その場で解決できなくとも、メモにし、優先順位をつけるだけでワーキングメモリは解放されるので、新しい情報の処理が可能となります。

◯書き出す
世の中には、すぐにやることもできず、メモだけでは対応できない事柄もあるものです。

そのときに有効なことは、視覚情報の力を借りることです。具体的には、文章や絵の形で書き出すことです。

頭の中だけで思い悩まずに書き出すことで課題がビジュアル化され、全体のイメージを摑むことができます。すると停滞していた思考が活性化され、新しい対応策を見出すことができるのです。

悩んだままでいるといつまでもワーキングメモリが停滞しますが、対応策を見出すことで問題を処理することができ、ワーキングメモリが解放されます。

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