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毎朝の通勤電車。ゲームは脳にとってよいのか、悪いのか~脳外科医がアドバイス

築山節(財団法人河野臨床医学研究所附属北品川クリニック所長

2017年06月19日 公開 2024年12月16日 更新

※本記事は、築山節著『「疲れない脳」のつくり方』(PHPビジネス新書)より、その一部を抜粋編集したものです。
 

通勤電車でのゲームには意味がある!?

沍える脳になるためには、毎日の生活習慣が大切です。ここでは、朝のスタートダッシュについて考えてみましょう。

まだ私が18歳のころ、名古屋駅の駅前にあった大学受験予備校へ通うため、早朝に起き、豊橋駅から電車に乗っていました。記憶をたどると、そのときのサラリーマン、とくに男性は、ほとんどが電車の中で『中日スポーツ』を読んでいました。

愛知県は中日ファンがとても多い県です。そのため、中日の勝った翌日の朝は、駅のスタンドの新聞は完売のことが多く、買えない人がたくさんいました。そして、名古屋駅までの1時間の間、舐めるように紙面を繰り返し読むというのが、通常のサラリーマンの通勤姿だったと思います。

では、今はどうでしょうか。先日、朝の通勤時間帯に電車に乗ったとき、私は電車の中には、4つのタイプの人たちがいると思いました。

・眠っている人
・新聞を読んでいる人
・携帯電話やスマートフォンを見ている人
・イヤホーンで音楽を聴いている人

この中で一番多いのは、やはりスマホを見ている人です。ほんの少し彼らの画面を覗いてみると、多くの人がゲームをしているようでした。ゲームをしているのは若い人や学生さんだけではありません。

30代以降のサラリーマン(女性も)も含まれています。

なぜ、最近は電車内でゲームをしている人が多いのか、私なりに考えてみました。朝の時間帯は、まだ起きてからそれほど時間が経っていないため脳は沍えていません。電車で寝ているのも、睡眠不足を補おうとしているためです。

そして、脳には基礎回転数があり、沍えるためにはその基礎回転数を上げる必要があります。新聞を読んでいる人がいるのは、昔と変わりありませんが、スマホは最近登場した機器です。爆発的に普及し、今ではほとんどの人が持っています。

スマホで簡単にでき、楽しくて、いつまでも続けられるゲーム。それは、電車などの自由のきかない場所で、脳の基礎回転数を上げるのに最適なものかもしれません。テンポのよい曲を聴きながら、自分の気持ちを高ぶらせてくれる音楽もいいでしょう。

朝の通勤時間は、仕事のスタートダッシュのために書類の1行目を書いたり、仕事の仕込みの時間にするなど、仕事の一歩目を踏み出すのにも適しています。

脳の機能も最初の立ち上げが重要です。朝の時間帯に、眠い脳を気持ちよく起こそうとしているのは、昔も今も、方法は違っても大切なのは同じです。

朝の時間帯は、「簡単なもの、心地よいものをある程度数多くこなし」、脳の基礎回転数を上げる。そして職場に着いたら、自分に与えられているものを「やさしいものから難しいものへ」と進ませていく。この順序でよいと私は思います。

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